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糖尿病の病気情報

糖尿病

糖尿病は、インスリンが少なくなったり、うまく働かず効果が弱まったりすることで、血液中からブドウ糖をうまく取り込めなくなってしまう病気である。生まれつき糖尿病の人、生活習慣が原因でかかってしまう人、治療の合併症で発病してしまう人など、その原因もさまざまなのが特徴である。

糖尿病の記事

尿に糖が出るから糖尿病。実は血管も砂糖漬け?

糖尿病と言うと、「太っている人の病気」と思われがちですが、そんなことはありません。よくない生活習慣を続けていれば、誰もが発症しうる身近な病気です。しかし、なぜ糖尿病になるのか、糖尿病を発症するとどんな不都合があるのかなど、詳しく知っている人はあまり多くないのが現実です。石川先生に詳しく解説していただきましょう。糖尿病とは糖尿病って、どんな病気ですか?文字のとおり、「尿に糖が出る病気」です。糖尿病の人の尿は甘いので、ありが寄ってきます。おそらくそんな様子を見て、昔の人が「糖尿病」と名付けたのかもしれません。糖尿病のなかには、膵臓(すいぞう)にあるβ細胞が壊れてインスリンが分泌されなくなってしまう「1型糖尿病」と、いわゆる成人型糖尿病と言われる「2型糖尿病」があります。後者の2型糖尿病は、ほんの数十年前までは「お金持ち病」と言われていました。それだけ糖がとれるのは、お金持ちだけだったのでしょう。なぜ尿に糖が出てしまうのでしょう?糖は私たちの体にとって大事な成分ですから、本来、尿に流れ出ることはありません。しかし、糖のとりすぎにより、腎臓がコントロールできる量以上の糖が血液中を流れ、結果として尿の中に糖が出てきてしまうのです。糖は体に悪いのでしょうか?糖のとりすぎが体によくないだけで、糖自体は体に悪いものではありません。糖は、生物体・人類にとって最高のエネルギー源です。われわれの体は、糖やグルコース、ブドウ糖などを使って、エネルギー物質であるATP(アデノシン三リン酸)を作っていますから、糖がなければ人間は生きていくことができません。そもそも、糖がなくなってしまうと脳の活動が停止してしまいますから、人間にとっては絶対に必要な成分と言えるでしょう。脳が停止したら、人は死んでしまいますからね。ですから、人間の体には、血糖値がある程度以下にならないよう厳密にコントロールする仕組みも備わっています。糖尿病とインスリン糖尿病とインスリンの関係を教えてください食事をすると血糖値(血液中の糖の濃度)が上がります。インスリンは、この血糖値を一定に保つホルモンで、血液中の糖を筋肉などの組織に取り込む働きがあります。簡単に説明すると、「食事をする⇒血糖値が上がる⇒インスリンが分泌される⇒ブドウ糖が筋肉などの組織に取り込まれる」ということです。本来、インスリンが効かないという人はいませんが、栄養過多や肥満により、取り込まれた糖を蓄えすぎてしまうと、インスリンの働きが悪くなり、血糖値が高い状態が続きます。この状態を医学用語では「インスリン抵抗性」と呼びます。糖尿病は、栄養過多や肥満が大きな原因になるということでしょうか?肥満になると、筋肉に取り込まれなかった多量のインスリンが血液中に流れることになります。インスリンは、膵臓の中にある特種なインスリン分泌細胞(β細胞)で作られています。例えば、ある人が健康なときは、この細胞は10のインスリンを出していたとします。しかし、肥満が進んで血糖値が高くなると、10では増えてしまった糖を筋肉に取り込めなくなりますから、膵臓は、20、30というインスリンを作るようになります。ところがそのうちに、β細胞はインスリンを出すことに疲れてしまい、だんだん分泌も落ちてきてしまうのです。肥満のこの人は、30のインスリンを出さなければ糖が筋肉に取り込めない状態なのですが、疲れてしまった膵臓の細胞は疲れて働きが悪くなっていますから、インスリンの分泌が20、10と減り、糖は組織(筋肉)に取り込まれなくなってしまいます。この状態が糖尿病の発症です。どんな検査をすると「糖尿病」であることが分かるのでしょうか?採血による「空腹時血糖健康診断」、おなかがすいている状態の血糖値を測る方法と、血液検査で過去1~2カ月の平均血糖値である「HbA1c」を測る方法があります。血糖値は、ガムをかんだり、砂糖をなめたり、コーヒーを飲んだりするだけでも変動してしまいますから、過去1カ月の平均血糖値が分かれば、より正確な診断をすることが可能になります。ほかに、砂糖水を飲んだあとの血糖値を測る方法(経口ブドウ糖負荷試験)もあります。ちなみに「HbA1c」というのは、血液中のヘモグロビンと糖が結合したものです。血糖値が高い状態が続くと、体のあちこちに糖が付着し、タンパク質であるヘモグロビンをも変性させてしまうのですね。糖尿病に初期症状はない?糖尿病には初期症状がないと聞きました。多少疲れたり、尿の量が多くなったりすることはありますが、初期の頃には、ほとんど症状はありません。多くの場合、健康診断の結果で、血糖値や「HbA1c」の値が高いと指摘されて気づきます。忙しくて健康診断を受けていなかったら、突然心筋梗塞になって、調べてみたら血糖値が高かったという方も少なくありません。糖尿病になると、糖が体のあちこちに沈着するので、血管も砂糖漬けになり、ボロボロになってしまうのです。血管が砂糖漬け……。やはり、ケーキやおまんじゅうなど甘いものが好きな人は糖尿病になりやすいのでしょうか?基本的には、ケーキを食べても、おにぎりを食べても、私たちの体は、エネルギー物質に変えることができます。だから食べるのはかまいませんが、大切なのは食べ過ぎないことです。一般的には、体重と身長から肥満度を表すBMI(体格指数)による適正体重を保つのがよいとされています。それにプラスして、ご両親が糖尿病であるかなどの遺伝的な背景も考慮する必要があります。ご両親に糖尿病の気がある方があまりよくない生活習慣を続けて太ってしまったら、間違いなく糖尿病を疑うべきでしょう。糖尿病の人は、他の病気になる可能性も高いのですか?糖尿病の人は、血管が砂糖漬けの状態です。すなわち、血管が硬くなったり詰まりやすくなったりするような病気は、おおかた糖尿病に合併すると思って間違いないでしょう。脳の血管なら脳梗塞、心臓なら心筋梗塞、目なら失明など、糖尿病からさまざまな病気が派生します。糖尿病は尿に糖が出てしまう病気ですが、実態は血管病で、全身の血管がだめになってしまうことが問題なのです。とはいえ、どの病気もそう簡単になる病気ではありませんから、1年に1回、必ず健康診断を受けるようにしていれば、心配には及びません。ただし、糖尿病は遺伝性の病気ですから、ご両親のどちらか、または両方が糖尿病だという方は、特に気にかけておく必要がありますね。もし糖尿病になってしまったら?もし糖尿病になってしまったら、どうすればいいのでしょうか?糖尿病は、透析が必要になったり、失明したりというリスクを伴う怖い病気です。しかし、糖尿病の人全員がそうなるわけではありません。糖尿病だと診断されても、しっかり治療を受ければ心配することはありません。糖尿病は治りますか?適切な治療を受けることに加えて、ご自身の生活習慣を改善していくことによって、なかには糖尿病が治るという方もいらっしゃいます。しかし残念ながら、1型糖尿病の方は、膵臓のインスリンを分泌する細胞がだめになっていますから、治すことはできません。つまり、外からインスリンを補うしか方法はないということです。糖尿病に効く薬はありますか?膵臓を刺激してインスリンの働きを高めたり、効果を促進したりする、さまざまな種類の薬が出ています。つい最近だと、余分な糖をわざと尿に出してしまう薬なんていうのも出てきました。しかし、人間がこれらの薬を飲み始めてまだ数十年です。これらの薬をこれから何十年か飲み続けたときに、どんな副作用があるかというのは、誰にも分かりません。新薬が効くことは間違いないのですが、何十年か飲み続けたときに副作用があるかどうかの証明をするのは、やはり不可能です。となると、やはり一番よいのは、昔ながらの、食事制限と運動ということになります。このふたつは何百万年も前から続いていますので、絶対に副作用がないことは間違いありません。コラム:父も糖尿病だったけど長生きした。だから私も…糖尿病の多くは遺伝します。あるとき私の診察を受けにきた患者さんが言いました。「父も糖尿病ですが、85歳の今も元気です。だから私も大丈夫ですよね。」確かに、この患者さんは、お父さんの糖尿病の遺伝子も、85歳まで生きられる遺伝子も持っています。そして案の定、糖尿病になってしまいました。さて、この方はお父さんと同じ85歳まで生きられるでしょうか?答えは、このままの生活を続けていれば、「NO!」です。なぜなら、お父さんがこの患者さんと同じ年齢を生きた時代と、今、患者さんが暮らすこの時代が違うからです。私は患者さんに言います。「あなたは、あなたと同じ年齢のときにお父さんが食べていたのと同じ食事をしていますか?」「あなたは、あなたと同じ年齢のときにお父さんが歩いていたのと同じ距離を歩いていますか?」おそらくお父さんは、この患者さんほどぜいたくな食事はしていなかったでしょうし、車に乗る回数も少なかったでしょう。例えば今から43年前、お父さんが42歳だった1975(昭和50)年には、コンビニエンスストアのひとつローソンは全国に10店舗のみ。それが2016(平成28)年には、1万3111店舗と、なんと1311倍にまで増えています(ローソンホームページより)。こうして私たちは、食べたいときに、数百メートルも歩かずにコンビニエンスストアに出掛け、食べ物を手に入れることができるようになりました。また、昔は今のように輸入牛肉を安く手に入れることは難しく、豪華なステーキを食べられる回数も少なかったことでしょう。1975(昭和50)年に、1604万4338 台だった自動車の保有台数も、2016(平成28)年には、6083万1892台。およそ4倍に増えています(一般社団法人自動車検査登録情報協会ホームページより)。最近では、近くのスーパーマーケットに出掛けるのも車。通勤、通学にも車を利用する人が増えていますから、お父さんの時代に比べて1日に歩く距離が減ったのは明白です。どう考えても、今の人たちのほうが、健康に悪い生活をしているのは一目瞭然。おいしいものを苦労せずに食べられて、おまけに歩く距離も減ったとなれば、お父さんより明らかに健康に悪い生活を送っていることは間違いありません。おまけに仕事が忙しくて、ストレスに追われる毎日を送っています。つまり、「おいしいものを手軽に食べて」「歩かず」「ストレスフルな」環境にいる患者さんは、糖尿病でも85歳まで生きられるはずなのに、「このままの生活を続けていたら厳しい」ということになってしまいます。とはいえ、平成のこの世の中で、昭和の時代と同じように、食事をして、歩いて……という生活するのは、不可能に近いことです。それでも、少しずつ近づけるように努力をしていただいて、足りない分をお薬で補う。今の平成の時代には、昭和の時代に比べたら、はるかによいお薬がたくさんあります。それを使わない手はありません。一番よいやり方は、若い頃のお父さんと同じ生活習慣に戻す努力をすること。それでも足りない分は、現代のお薬で補う。それが本来のやり方だと私は思っています。平成の美食をして、平成の運動習慣もそのままで、悪くなった分を平成の薬で補う。薬を飲めば、確かに血糖値は落ちるかもしれませんが、人間・生物としては一番好ましくない治療方法だと思います。インタビュー・文:たなか みえ/イラスト:浅海 司

石川 義弘

2018.6.20

糖尿病の治療事例

のどの渇きと全身のだるさ。診断は1型糖尿病

糖尿病

10代

女性

2018.5.28

1週間前からのどが渇きやすくなり、学校では水筒のお茶が毎日足りなくなる。 同じころから全身のだるさを感じるようになり、学校でも以前ほど活発に動けなくなった。

糖尿病を治療中。朝食前の散歩で低血糖になり昏倒

糖尿病

60代〜

女性

2018.5.28

糖尿病と診断されてから、毎朝夫と散歩するのを習慣にしていた。いつも通り朝食前に散歩していると、胸が「ドクドク」としてきた。だんだん意識が遠のいていき、その場で横になって起き上がれなくなってしまった。夫が救急車を呼んでくれた。

「インスリン注射は不要」と自己判断、意識障害に

糖尿病

50代

男性

2018.5.28

49歳のときに1型糖尿病と診断。1週間前から38度台の発熱とのどの痛み、食欲がなくなり、2日前からインスリンは打っていない。朝、意識がもうろうとしているところを家族が発見、

激務と荒れた食生活。糖尿病で視力・腎機能が低下

糖尿病

30代

男性

2018.5.28

半年前から目が見えにくい気がしていた。視力が下がったのかもしれないと思い、コンタクトの度数を変えようと眼科を受診した。

ここ1年は通院せず。やけどが原因で足の指を切断

糖尿病

40代

女性

2018.5.28

2カ月前、糖尿病の症状で足の感覚がなくなっていたために、湯たんぽで右足の親指にやけどをしてしまった。糖尿病の状態が悪いとやけどの治りが遅くなるため検査することに。

20年前から治療中。最近疲れやすく、目がかすむ

糖尿病

50代

女性

2018.5.28

1週間ほど前から目がかすんでよく見えないときがある。ただの疲れ目だろうと思ったが、眼科を受診した。

不妊治療を希望したところ、糖尿病と診断された

糖尿病

30代

女性

2018.5.28

結婚して1年、子どもができず不妊が心配になっていた。先月、夫婦で不妊外来を受診。ホルモンの値などを調べる血液検査の結果、血糖値に異常がみられたため、「まずは内科を受診したほうがよい」と言われ、糖尿病のクリニックを紹介された。

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