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シリーズ別記事一覧

止まらない感染拡大、中国では市民生活に影響も。 新型肺炎、今できる対策は?(1月25日時点)

2019年12月以降、中国内陸部の湖北省武漢市で肺炎患者が相次いでいます。世界保健機関(WHO)は1月14日、武漢市で発生している肺炎患者から検出されたウイルスが、新型のコロナウイルスであることを発表しました。新型コロナウイルスの感染者数は増え続けています。現時点でわかっている情報と対策を整理しました。1月17日の時点では感染者は41名(そのうち2名死亡)でしたが、その後、中国国内での感染者の報告は218名(そのうち4名死亡)になりました。21日に発表された4人目の死亡者は、糖尿病や心臓病を患っていた89歳の男性です。編集部追記(1月22日):中国政府は22日午前に初めて記者会見を行い、患者はこれまでに440名、死者は9名にのぼっていると発表しました。編集部追記(1月23日):中国の保健当局によると、感染はさらに広がっており、22日には新たに8名の死亡が確認され、死亡した人は17名に。感染者はあわせて571名にのぼったとしています。武漢の地元当局は武漢を離れる航空便や鉄道の運行を当面停止し、市民に対して特別な用事がない限り武漢を離れないよう求めています。編集部追記(1月24日):中国の保健当局などによると、患者の数は830名、死亡した人の数は26名にのぼっています。編集部追記(1月25日):中国の保健当局は、新たに患者が444名増え、1287名になったと発表しました。また、死亡した人の数も41名となっています。武漢市のみでなく、広東省、北京市、上海市、深セン市でも感染者が報告されています。また、タイ、日本のほか、韓国でも感染者が発表されました。武漢市への渡航歴のある中国人女性とのことです。編集部追記(1月24日):中国本土以外では、これまでに9つの国と地域(タイ・シンガポール・香港・マカオ・ベトナム・韓国・台湾・アメリカ・日本)で感染が確認されています。編集部追記(1月25日):オーストラリアでも初の感染者が確認されています。調査にあたっている中国の保健当局は、「患者の95%は湖北省の武漢市と関係がある」とした上で「武漢市と広東省ではそれぞれ、ヒトからヒトへの感染がすでに確認されている」という見方を示しました。編集部追記(1月25日):WHO=世界保健機関はベトナムでヒトからヒトへの感染が起きたとみられると発表しました。現時点で、パンデミック(世界的大流行)を起こす可能性は?今後パンデミック(世界的大流行)に進展するリスクは「持続的・効率的なヒトからヒトへの感染が起こるかどうか」によります。これまでのSARS、MERSでは持続的・効率的な「ヒト-ヒト感染」は起こっておらず、あくまで濃厚接触による限定的な「ヒト-ヒト感染」にとどまっていました。新型コロナウイルスについても、感染性の程度をもう少し詳細に評価することが必要です。現時点では、夫婦間での感染や中国国内の14人の医療従事者の感染が確認されています。これは、「ヒト-ヒト感染」が起こっている可能性を強く示唆しています。しかし、いずれも患者に濃厚接触をした者が発症しているのみであり、現状ではヒトからヒトへの感染性は高くないと考えられます。家庭・病院内での濃厚接触など、特定の状況では感染しうるということを示唆しており、「持続的・効率的な『ヒト-ヒト感染』が起こっている」とは言えない状況です。新型コロナウイルスはどれぐらい危険?また「かかったらどれぐらいの人が亡くなってしまうのか」といった、「ウイルスそのものの怖さ」もまだ詳しくわかっていません。コロナウイルスというものは、もともと軽症で済むものから重症になるものまで幅がとても広いので、おそらく軽症者はもっといると思われますが、SARSコロナウイルスに類似しているとすればこれらの数は限定されるかもしれません。どのくらいの数が感染して、その中でどのくらいが肺炎を起こすか、そのうちのくらいが致命的なのかということがわかるまでは、ニュースなどで今後の状況の変化に注意しつつ、以下の対策を取り続けてください。現状、日本国内では地域内の感染伝播はありませんので、国内で暮らされている方々が心配されるようなことはありません。新型肺炎になると、どんな症状が出る?編集部追記(1月24日):厚生労働省によれば、新型コロナウイルスに感染・発症した患者には以下のような症状がみられるとのことです。・発熱・全身倦怠感・乾いた咳(せき)・入院患者では呼吸困難も多いこれらの症状は、いわゆる風邪やインフルエンザなどに感染した時にもみられるものです。今すぐできる対策は?現在、新型コロナウイルスが国内で感染伝播することを防止するのにもっとも重要なのは、・武漢市への渡航歴があって発熱と気道症状(咳やのどの痛みなど)のある人は、マスクをしたり、咳やくしゃみをティッシュでおさえたりするなどの「咳エチケット」を守ること。・武漢市への渡航歴があって、発熱と気道症状がある人は、公共交通機関を使用せずに、医療機関を受診して、きちんと渡航歴を伝えること。この2点になります。武漢市への渡航歴がない人、武漢市への渡航歴があっても発熱と気道症状がない人は、ニュースなどで今後の状況の変化に注意してください。感染の対策としては、現在はインフルエンザや風邪のウイルスも地域に存在していますので、基本的に手洗いと「咳エチケット」を守ることだと思います。【解説】コロナウイルスとは?コロナウイルスの中でも、これまでにヒトに感染すると判明しているものは、本来はほとんどがいわゆる「風邪症候群」を起こすウイルスです。ヒトに日常的に感染する4種類のコロナウイルス(Human Coronavirus:HCoV)は、HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1で、風邪症候群の10~15%(流行期は35%)はこれら4種のコロナウイルスを原因とします。過去に深刻な流行を起こしたSARSとMERSは、動物のコロナウイルスが人間世界に入ってきたものです。参考サイト・中華人民共和国湖北省武漢市における新型コロナウイルス関連肺炎について(第5報) - 厚生労働省・Coronavirus - World Health Organization: WHO・中国湖北省武漢市で報告されている新型コロナウイルス関連肺炎に対する対応と院内感染対策 - NIID 国立感染症研究所・特設サイト 新型ウイルス肺炎|NHK NEWS WEB

谷口 清州

2020.1.25

新型肺炎を日本で初確認。専門家が教えるウイルスの危険性と今すぐできる対策

編集部追記(1月25日):この記事の内容は古くなっています。最新情報はこちらの記事でご確認いただけます。止まらない感染拡大、中国では市民生活に影響も。 新型肺炎、今できる対策は?(1月25日時点)中国内陸部の湖北省武漢市で2019年12月以降、原因不明の肺炎患者が相次いでいます。1月15日までに武漢市では41人が発症し、61歳の男性1人が死亡しましたが、その後、重症であった69歳の男性が死亡。これで発症者41人、12人が軽快して退院し、5人が重症で治療中、2人が死亡しています(1月17日現在)。世界保健機関(WHO)は1月14日、武漢市で発生している肺炎患者から検出されたウイルスが新型のコロナウイルスであることを発表しました。日本でも新型のコロナウイルスの感染者が出ています。厚生労働省は16日、武漢市から帰国した後、肺炎の症状で医療機関に入院していた神奈川県の30代男性から新型コロナウイルスが確認されたと発表しました。国内でこのウイルスが確認されたのは初めてです。男性の症状は回復し、すでに退院しました。家族や病院関係者への感染は確認されていません。新型コロナウイルスはどれぐらい危険?今回の新型コロナウイルスに関しては、これまでのところ、死亡例はもともと基礎疾患のあった方と高齢者の2例のみであり、現状では病原性(感染症を起こす性質・能力)が強いとは言えません。また、診療に当たっている医療従事者への感染は見られておらず、感染が広まるのに必要な、持続的・効率的な「ヒト-ヒト感染」は確認されていません。現時点で、感染者の発症日と感染地域は限られており、広い地域に広がっているという証拠は確認されていません。コロナウイルスとは、いわゆる「風邪」を引き起こすウイルスです。不顕性感染(感染しても発症しないこと)や軽症例も多数見られることがわかっており、その一部が重症化して見つかっていることも考えられます。このような現象は一般的に風邪を起こすウイルスでよく見られることです。武漢でも今のところ新たな感染の拡大は見られていませんし、日本でも武漢への渡航歴のある人で見つかっているだけですので、特に恐れるものではありません。現時点で、パンデミック(世界的大流行)を起こす可能性は?今後日本で広がるとしても、これには多数のウイルスの持ち込みがあり、かつ効率的・持続的な「ヒト-ヒト感染」がないと起こりませんので、現状では日本で広がるリスクは低いと考えられます。過去に深刻な大流行を起こしたSARS(重症急性呼吸器症候群)とMERS(中東呼吸器症候群)もコロナウイルスの感染によるものです。しかし、もし新型コロナウイルスがSARSに似ているとしたら、SARSコロナウイルスは発症初期の感染力は高くなく、肺炎が起きる頃にピークになりましたので、現在の新型コロナウイルス感染症も発症早期に対応できれば感染拡大は抑えられるものと思います。新型肺炎になると、どんな症状が出る?編集部追記(1月24日):厚生労働省によれば、新型コロナウイルスに感染・発症した患者には以下のような症状がみられるとのことです。・発熱・全身倦怠感・乾いた咳(せき)・入院患者では呼吸困難も多いこれらの症状は、いわゆる風邪やインフルエンザなどに感染した時にもみられるものです。今すぐできる対策は?現在もっとも重要なのは、・武漢への渡航歴があって発熱と気道症状(咳やのどの痛みなど)のある人は、マスクをしたり、咳やくしゃみをティッシュでおさえたりするなどの「咳エチケット」を守ること。・武漢への渡航歴があって、発熱と気道症状がある人は、公共交通機関を使用せずに、医療機関を受診して、きちんと渡航歴を伝えること。この2点になります。武漢への渡航歴がない人、武漢への渡航歴があっても発熱と気道症状がない人は、ニュースなどで今後の状況の変化に注意してください。感染の対策としては、現在はインフルエンザや風邪のウイルスも地域に存在していますので、基本的に手洗いと「咳エチケット」を守ることだと思います。【解説】コロナウイルスとは?コロナウイルスの中でも、これまでにヒトに感染すると判明しているものは、本来はほとんどがいわゆる「風邪症候群」を起こすウイルスです。ヒトに日常的に感染する4種類のコロナウイルス(Human Coronavirus:HCoV)は、HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1で、風邪症候群の10~15%(流行期は35%)はこれら4種のコロナウイルスを原因とします。過去に深刻な流行を起こしたSARSとMERSは、動物のコロナウイルスが人間世界に入ってきたものです。参考サイト・中華人民共和国湖北省武漢市における新型コロナウイルス関連肺炎について(第5報) - 厚生労働省・Coronavirus - World Health Organization: WHO・中国湖北省武漢市で報告されている新型コロナウイルス関連肺炎に対する対応と院内感染対策 - NIID 国立感染症研究所・特設サイト 新型ウイルス肺炎|NHK NEWS WEB

谷口 清州

2020.1.25

これってインフルエンザ……? 初期症状と、かかった場合の治療方法を解説

毎年冬になると流行するインフルエンザ。「ただの風邪だと思っていたら、インフルエンザだった!」なんてことになったら、子どもやお年寄りであれば症状が重くなるリスクもありますし、ウイルスをまき散らすことにもなりかねません。そこで今回は、風邪とインフルエンザの症状の違いを知り、もしインフルエンザにかかっていた場合はどんな治療が必要なのか、おさらいしましょう。風邪とインフルエンザの違いって何?風邪はさまざまなウイルスによって引き起こされる、基本的に自然治癒傾向のある疾患です。多くは、発熱・のどの痛み・鼻汁・くしゃみ・咳などの症状が中心です。一方、インフルエンザはインフルエンザウイルスにより引き起こされる感染症です。38℃以上の発熱・頭痛・関節痛・筋肉痛・全身倦怠感などの症状が比較的急速に現れます。普通の風邪と同じように、のどの痛み・鼻汁・咳などの症状が見られる場合もありますが、特徴的なのは気道の症状だけではなく、全身的な症状が強いということです。「インフルエンザかも」と思ったら?急激な高熱など「インフルエンザかも」と疑いを感じたとき、症状が強い場合やインフルエンザが重症化するリスクのある場合(注)などは、状況に応じて医療機関を受診しましょう。抗インフルエンザウイルス薬の投与により、発熱期間を1日短縮することと、合併症を減らす効果が認められています。インフルエンザの治療方法医療機関でインフルエンザと診断されたら、以下の2つの治療をおこなうことになります。水分・睡眠を十分にとり、安静にするもともと健康な人にとっては、インフルエンザは風邪と同様に自然治癒する疾患です。水分を十分にとり、しっかり眠って安静に過ごしましょう。症状やリスクに応じて薬の服用も高齢者や幼児、妊婦、持病のある人は、健康な人と比べて症状が重くなりやすい傾向にあります。そういった人々や、発熱・頭痛などの症状が重い人などに対しては、医師が必要と判断した場合に抗インフルエンザウイルス薬や解熱鎮痛薬などの薬が処方されます。薬が処方されたら、その効果を最大限に発揮させるために、用法・用量・服用する日数をきちんと守りましょう。抗インフルエンザウイルス薬のもっとも効果的な服用時期は?インフルエンザウイルスは増殖のスピードが速く、発症後48時間以内にウイルス増殖のピークがおとずれます。したがって、抗インフルエンザウイルス薬は“発症から48時間以内に服用”することが望ましいとされていますが、この期間を過ぎても効果がないわけではありません。適切な時期に服用を開始した場合、発熱期間が通常1~2日間短縮され、鼻やのどからのウイルス排出量も減少することが分かっています。処方される主な抗インフルエンザウイルス薬インフルエンザに処方される治療薬は、下記に挙げた抗インフルエンザウイルス薬が代表的なものです。投与する薬は医師が選択しますが、薬の形状や服用回数など、希望があれば伝えておきましょう。タミフル一般名:オセルタミビルリン酸塩。カプセル剤もしくはシロップで、1日2回、5日間投与します。今シーズンからはジェネリック薬(後発薬)も選べるようになりました。リレンザ一般名:ザナミビル水和物。専用の吸入器を用いて吸入し、1日2回、5日間投与します。イナビル一般名:ラニナミビルオクタン酸エステル水和物。専用の吸入器を用いて吸入し、1回のみ投与。今シーズンから、より吸入しやすいように、使用する際に生理食塩液を加え、ジェット式ネブライザで吸入するタイプも使用可能になりました。ゾフルーザ一般名:バロキサビルマルボキシル。錠剤で、規定量を1回のみ投与します。小児(12歳未満)へのゾフルーザの投与については慎重に日本感染症学会は2019年10月24日、抗インフルエンザウイルス薬「ゾフルーザ」について、「12歳以上については臨床データが乏しく推奨/非推奨は決められない」「12歳未満の小児に対しての投与は慎重に検討するべき」との提言を発表しました。12歳未満の子どもにゾフルーザを投与したところ、薬の効きにくい耐性ウイルスの出現頻度が高いという報告が上がっているためです。日本感染症学会は以下の提言を行っています。(1)12~19歳および成人:臨床データが乏しい中で、現時点では、推奨/非推奨は決められない。(2)12歳未満の小児:低感受性株(※編集部注:低感受性株=薬の効きにくい耐性ウイルスのこと)の出現頻度が高いことを考慮し、慎重に投与を検討する。(3)免疫不全患者や重症患者では、単独での積極的な投与は推奨しない。投与が規制されているわけではありませんが、耐性ウイルスにより症状が長引いたり、またその薬の効きにくいウイルスが他の人に移ったりしますので、上記のような提言が出されています。治療薬を服用していなくても現れる?子どもの「異常行動」インフルエンザにかかった際、「急に走り出す」「部屋から飛び出そうとする」などの異常行動が見られる場合があります。これらは、抗インフルエンザウイルス薬を服用しているか否かにかかわらず、発熱から2日以内に見られやすい症状であることが、近年の研究で明らかになっています。また、就学以降の小児・未成年の男性に多く現れることも分かっています。重度の異常行動は、転落事故につながる恐れもあります。小児・未成年者がインフルエンザと診断されたら、事故の危険が少ない場所に寝かせ、少なくとも2日間は1人にしないようにしてください。参考文献・厚生労働省 インフルエンザQ&A・日本感染症学会 日本感染症学会提言「~抗インフルエンザ薬の使用について~」文:Open Doctors編集部

谷口 清州

2020.1.8

どのタイミングで打てばいいの?インフルエンザの予防接種の正しい接種法

毎年冬になると猛威を振るうインフルエンザ。今年は季節性インフルエンザの流行の開始が過去10年で最も早いと言われています。厚生労働省の発表によると9月の時点で昨年同時期より患者数が8.7倍となっており、全国の小中学校では学級閉鎖が急増中。早急な対策が必要とされています。インフルエンザの予防手段といえば、もっともポピュラーなのが予防接種。ここでは、予防接種の正しい接種時期や回数、効果などをご紹介します。インフルエンザワクチンの正しい接種時期は「流行前」日本において、インフルエンザは例年12月~4月頃にかけて流行し、1月末~3月上旬にピークを迎えます。予防手段としては、インフルエンザワクチンの接種がポピュラーな方法の1つです。いわゆる予防接種は、「流行前」に行うのが望ましいとされています。理想は10月中、それが難しい場合も12月中旬までに接種しておくのがよいでしょう。今年は、流行期間が前倒しになっている傾向にあります。なるべく早めに予防接種を受けることをおすすめします。一方で、みなさんが早めに受けようとすると、需要の集中とワクチン在庫の偏りが生じて、一時的にワクチンの不足が起こることがあります。予防接種がまだの方は、近くの小児科に電話で在庫の確認をしておきましょう。昨年予防接種を受けたから、今年は必要ない?前年に予防接種をしたからといって、今年もその効果が持続するわけではありません。一般に、ワクチンの効果は6カ月程度たつと落ちてきます。また、流行するインフルエンザウイルスは毎シーズン少しずつ変異しているので、そのシーズンに流行が予想されるウイルスを用いて、インフルエンザワクチンも毎年作り変えられています。そのため、前年に予防接種を受けた方も、今シーズンの予防のためには今年の予防接種が必要です。予防接種をすれば、インフルエンザにはかからないの?予防接種をしたからといって、インフルエンザに絶対かからないわけではありません。しかし、発熱やのどの痛みなど、発病後の症状をやわらげることはわかっています。(*1)じつは、予防接種のもっとも大きな効果は、症状の重症化を防ぐことなのです。予防接種を受けた方がいい人は?とくにインフルエンザの予防接種が推奨されているのは、症状が重症化しやすい以下の方々です。65歳以上の高齢者ワクチンを接種した場合、死亡の危険が5分の1に、入院の危険が約3分の1から2分の1にまで減少することが期待できるとされています。(*2)生後6カ月~5歳未満の乳幼児予防接種をすると、おおむね20~60%の発病防止効果があるとされています。(*1)妊婦や心疾患、免疫不全など合併症リスクが高い方妊娠している方や、慢性心疾患、慢性肺疾患、糖尿病のある方、免疫不全状態にある方などは、インフルエンザによる合併症リスクが高くなっているため、とくに予防接種しておくことが望ましいとされています。(*3)インフルエンザワクチンの効果的な接種回数は?インフルエンザワクチンの適切な接種回数は、年齢によって異なります。13歳以上の方1回接種が原則です。ただし、医師が2回接種を必要と判断した場合はその限りではありません。13歳未満の方日本では2回接種が原則です。1~4週間隔で接種可能ですが、免疫効果を考慮すると4週間あけて接種するのがもっとも効果的と言われています。「任意接種」と「定期接種」の違い予防接種の受け方には以下の2種類があります。任意接種希望者が接種費用を自己負担して受けるものです。定期接種インフルエンザにかかると重症化しやすい方を対象にした、公費(一部自己負担あり)で受けられる予防接種です。対象者は以下のとおりです。(*1)(1)65歳以上の方。(2)60~64歳で、心臓、腎臓もしくは呼吸器の機能に障害があり、身の回りの生活を極度に制限される方(概ね、身体障害者障害程度等級1級に相当)。(3)60~64歳で、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な方(概ね、身体障害者障害程度等級1級に相当)。予防接種が受けられる医療機関については、お住まいの市区町村(保健所・保健センター)、医師会、医療機関、かかりつけ医にお問い合わせください。参考文献(*1)インフルエンザQ&A - 厚生労働省(*2)インフルエンザ(総合ページ)65歳以上の皆様へ - 厚生労働省(*3)重篤化しやすい基礎疾患を有する者等について - 厚生労働省文:Open Doctors編集部

谷口 清州

2019.11.27

死の危険もある熱中症。早めの対策意識でシャットアウト

毎年、話題になる熱中症。「症状」と「対策」を知り、実践することで、防ぐことが可能です。自分自身だけではなく、家族など周囲の人を守るためにも、熱中症のことをもっと詳しく知っておきましょう。命の危険も。熱中症ってどんな病気?熱中症とは、高温多湿の環境で汗をかいて体内の水分量・塩分量のバランスが崩れたり、暑さで体温調節機能が乱れたりすることによって起こる臓器の障害、体の不調を指します。環境省の熱中症予防情報サイト(*1)では、「重症化すると死に至る可能性のある病態」とも表記されています。熱中症は、命の危険を伴う病気なのです。ただし、予防を実践すれば防ぐことができ、もし発症したとしても、適切な応急処置により重症化を防ぐことが可能な病気でもあります。「3つの工夫」で熱中症予防熱中症予防の基本は「脱水と体温の上昇を抑えること」です。気温が高くなると予想される日は、行動・住まい・衣服の3つの観点で工夫(*2)して生活するよう心掛けてください。その1:行動の工夫①こまめに水分・塩分を補給する②頑張らない、無理をしない③日なた(直射日光)を避けるたとえば、炎天下でのバーベキューなどの際は注意が必要です。タープなどで日陰を作っておくとよいでしょう。意識して「無理をしない」行動が必要です。その2:住まいの工夫①風通しをよくする②カーテンなどで日光を遮断する③エアコン・扇風機を使う単に窓を開けるだけではなく、風の通り道を作ることが大切です。また、「暑い」と感じたら我慢せず、エアコンで室内温度を下げるようにしてください。その3:衣服の工夫①ゆったりした服を着る②襟元をゆるめる③吸汗・速乾素材を活用する④黒色系の素材を避ける⑤日傘や帽子を使う衣服の中や体の表面に風を通すことで汗を冷やし、体から出る熱を逃がします。帽子は熱がこもらないようにときどきはずして、汗を蒸発させてください。重症度別にみる症状と応急処置どんなに対策をしっかりしたとしても、高温の日や日光の下に長時間いたあと、もともと体調がすぐれない場合などは、つねに熱中症の疑いをもって体の調子を確認することが必要です。症状によって重症度はI度~III度の3段階に分けられますので、段階ごとに適切な処置をしましょう。症状と必要な処置(I度)■必要な処置①水分・塩分を補給する②涼しい場所へ移動する③安静にする室内であれば扇風機や冷房を使って室温を下げ、屋外の場合は風通しのよい日陰に移動します。横になり、脚を心臓よりも高い位置に上げることで、心臓に戻る血流を増やすことが大切です。症状と必要な処置(II度)■必要な処置重症度I度の処置を行ったあと、衣服をゆるめて体を冷やします。■適切な体の冷やし方・衣服のボタンをはずし、ベルトやネクタイ、女性の場合は下着もゆるめて風通しをよくする  ・露出させた皮膚に濡らしたタオルやハンカチをあて、うちわや扇風機で扇ぐ・冷たいペットボトルなどを首の付け根の両脇、脇の下、太ももの付け根の前面、股関節部にあてる重症度 II度は緊急度が高まっています。症状が強い場合は医療機関の受診も検討してください。症状と必要な処置(III度)■必要な処置重症度 III度の症状がひとつでも確認できた場合は、すぐに救急車を呼んでください。特に、呼びかけに応えないようであれば、かなり危険な状態です。救急車を待っている間に、涼しい場所に移動させ、体を冷やしてください。水分補給に関しては、意識障害が起こっている場合は気道に流れ込む可能性があるので、救急隊の到着を待ちましょう。暑さのピークとなる8月は意識も高くなりますが、それまでは油断しがちな熱中症対策。事前にしっかりと知識をつけて、突然の猛暑にも慌てないようにしたいですね。参考文献(*1)厚生労働省 熱中症による死亡者数(人口動態統計)(*2)環境省 熱中症予防サイト内「熱中症環境保健マニュアル2018」文:Open Doctors編集部

石川 義弘

2019.7.11

つらい花粉症。セルフケアの方法と治療の選択肢

「鼻水が止まらない」「目がかゆい」今の時期、花粉症に悩む人も多いのではないでしょうか。今年の花粉の飛散量は例年より多い(*1)ようです。花粉症を学んでセルフケアをしっかりと行うとともに、来年の対策についても考えておきましょう。基本情報:花粉症とは?花粉症とは、花粉に対して人間の体が起こすアレルギー反応のこと。鼻水や涙が出るのは、花粉に過剰に反応してしまうためです。地域により特徴的な花粉の種類は異なりますが、スギ花粉症は2〜3月、ヒノキは4〜5月、シラカンバは4〜6月、カモガヤは5〜8月、ブタクサやヨモギは8〜10月ごろとされています。(*2)(*2.1)対策で大事なのはセルフケア人によっては複数の強い症状が現れることもあり、重症化しているようであれば専門機関の受診をお勧めしますが、そうでない場合はアレルギー対策の基本は「抗原回避」です。つまり、できるだけ花粉に触れないこと。外出時などは特に下記のことに注意しましょう。花粉の飛散情報をチェックテレビやインターネットで花粉の飛散情報を知ることができます。花粉が多い日や雨上がりのときには花粉が着きにくい衣類にするなどして外出しましょう。マスク(+メガネ)マスクやメガネは花粉の量が多いときは特に効果を発揮する防御策です。マスク・メガネの有無で鼻の中の花粉量に6倍の差が確認されたというデータもあります。(*3)ただし、お子さんの場合は花粉用のメガネをしたまま運動すると、転倒したときに危険ですので注意が必要です。自宅の環境整備帰宅時には家の中に入る前に花粉を払う、カーペットよりはフローリングにして掃除しやすくする、窓を開けない、布団を外に干さない、などして家の中に花粉が入らないようにしましょう。ただし、いずれも効果には個人差があり、厚生労働省の花粉対策でも「症状の緩和が期待される」とされています。花粉症の薬に関して花粉飛散前や症状が軽いうちに服薬を始めるとあまり強い症状にならずにすむと言われています。内服の抗ヒスタミン薬が代表的ですが、第二世代といわれる、眠気の少ないものを選ぶとよいでしょう。最近、「貼る」抗ヒスタミン薬も発売されました。内服のロイコトリエン受容体拮抗(きっこう)薬は、いわゆる鼻づまりに効果があると言われていますが眠気はありません。局所療法としては、鼻症状に対して鼻噴霧用ステロイド薬、眼症状に対して抗ヒスタミン薬の点眼があります。それでも治りにくい場合には、ステロイドの点眼薬、免疫抑制薬の点眼薬なども用いられます。根治を目指す免疫療法もスギ花粉症で困っている方には治療法の一つに根治を目指すアレルゲン免疫療法があります。これは、皮下免疫療法と舌下免疫療法があり、いずれも5歳くらいから受けることができます。「皮下免疫療法」は、アレルギー反応が起きないところまで濃度を下げた花粉の抽出液を注射して、その後少しずつ濃度を上げていくことで花粉抗原の免疫を獲得させる方法です。3年以上続ける必要がありますが、軽症化や無症状化などの改善例が8割以上と報告されています。「舌下免疫療法」は治療薬を舌の下に投与するとすぐに溶けるため、定められた時間保持したあとに飲み込むものです。毎日、自宅で服用するのですが症状がない季節にも根気よく続ける必要があるため、よく理解してから始めましょう。こんな対策も:インナーマスク環境省が使用を推奨しているインナーマスクはご存じでしょうか。市販のマスクの内側に装てんすることで、どんなマスクでも99%以上の花粉除去率になります。(*4)インナーマスクの作り方と使い方必要なもの・市販のガーゼ・化粧用のコットン手順① ガーゼを縦横10cm程度に切り、2枚用意② 化粧用のコットンを丸めて、1枚のガーゼでくるむ(インナーマスク)③ 市販の不織布のマスクにもう1枚のガーゼを4つ折りにしてあてる④ 鼻の下にガーゼでくるんだコットン(インナーマスク)を置く⑤ ③のガーゼをあてたマスクを装着する⑥ 息が苦しい場合にはコットンの厚さを半分にする参考文献(*1)日本気象協会 2019年 春の花粉飛散予測(第4報)(*2)厚生労働省 花粉症Q&A集(平成22年度)(*2.1)アレルギーポータル(*3)的確な花粉症の治療のために(PDF)(*4)環境省 花粉症環境保健マニュアル 2014(PDF)文:Open Doctors編集部監修医師独立行政法人国立病院機構 三重病院 院長藤澤 隆夫 先生独立行政法人国立病院機構 三重病院 アレルギー疾患治療開発研究室長長尾 みづほ 先生

2019.3.27

ノロウイルスに感染。消毒薬の作り方

食中毒を起こす原因には、ウイルス・細菌・自然毒・化学物質などがありますが、最も多いのがノロウイルスによるものです。1年を通して発生し、例年11月くらいから件数が増え始めます。ピークは12月から1月頃となり、学校や職場などで集団発生につながることがありますので注意が必要です。症状は? 子どもや高齢者は重症化のおそれも主な症状は吐き気・おう吐・下痢・腹痛であり、発熱は軽度です。潜伏期間は24~48時間で、発症から1~2日で症状はおさまります。(*1)健康な人は軽症で回復しますが、子どもや高齢者などは重症化しないよう注意が必要です。また、間接的ではありますが、おう吐物を誤って気道に詰まらせて死亡する例もみられます。感染経路は「人→人」「食品→人」の2つ感染経路は大きく分けると2つ。1つは、人から人への感染です。感染者のおう吐物や便の中に含まれるウイルスが手などに付着して起こる経口感染や、おう吐物による飛沫(ひまつ)感染にも注意が必要です。もう1つは、食品から人への感染です。感染者の調理したものを食べる、もしくはウイルスに汚染された二枚貝を、加熱が不十分な状態で食べるといったことによって感染します。予防のポイントはトイレのあと、調理の前便からのウイルスの排出は2週間以上続くことも。感染を防ぐためにも手洗いを徹底するようにしましょう。トイレを使用したあと、調理の前などは必ず手を洗ってください。石けんを使い30秒ほどこすり洗いし、水で流すことにより、ウイルスは大幅に減少します。(*2)指先や爪の間・手のしわは洗い残しの多い箇所なので、特に注意して洗いましょう。また、共用タオルで手を拭くのも避けてください。食品中のウイルスの感染力をなくすには一般的にウイルスは熱に弱く、85~90度で90秒間以上加熱すると感染力を失うとされています。(*3)感染報告の多い二枚貝でも、しっかりと加熱すればウイルスの脅威はなくなります。ワクチンはない 脱水症状に注意を現状、ノロウイルスにはワクチンがなく、治療は症状を軽減する対症療法のみです。つまり、下痢・嘔吐による脱水を補うための「水分補給」、そして「安静」により、症状がおさまるのを待つしかありません。おう吐物の正しい処理方法室内でおう吐などがあった場合は、二次感染を防ぐためにも必ず消毒が必要です。ただし、ノロウイルスの消毒は、殺菌目的の石けん(逆性石けん)はもちろん、アルコール(消毒用エタノール)では十分な効果が得られません。適切な道具をそろえ、正しいやり方で消毒しましょう。また、廃棄用のビニール袋にも塩素消毒液を入れておくとさらによいでしょう。なお、おう吐物は想像以上に遠くまで飛び散るので、広い範囲を消毒してください。消毒に必須となる「塩素消毒液」の作り方は次項で解説します。「塩素消毒液」の作り方次亜塩素酸ナトリウムを含む「塩素系漂白剤」と水で「塩素消毒液」を作ることができます。配合は、作りたい消毒液の濃度や、使用する漂白剤の濃度によって異なります。表を参考に漂白剤を希釈してください。台所用塩素系漂白剤(塩素濃度6%)を使う場合哺乳瓶用塩素系漂白剤(塩素濃度1%)を使う場合(*4)すみやかな特定が二次感染を防ぐおなかを下しただけでは深刻に考えずに学校や会社に行ってしまいがちですが、吐き気・おう吐・下痢・腹痛などの症状が強い人や、集団生活をする必要がある人、あるいは調理に従事する人などは、状況に応じて医療機関に相談しましょう。医療機関では「ノロウイルス抗原検査」が可能ですが、感染者の30%は無症候性とされていますので、流行期には常に手洗いを心がけてください。感染者を増やさないことが、巡り巡って自分の身を守ることにもなります。参考文献(*1)厚生労働省 ノロウイルスに関するQ&A(*2)東京都福祉保険局 防ごう!ノロウイルス感染(*3)厚生労働省 冬は特にご注意! ノロウイルスによる食中毒(*4)消毒液(塩素系漂白剤)の作り方 目黒区文:Open Doctors編集部

谷口 清州

2018.12.26

ヒートショックによる突然死にご用心

突然ですが、浴室のヒートショック対策、していますか? もし「自分には関係ない」と思っているなら大間違い。実は、ヒートショックに関連した入浴中の急死者数は、交通事故による死亡者数の4倍とも言われています。(*1)(*2)亡くなる大多数は高齢者の方ですが、寒くなるこれからの季節、高血圧や脂質(コレステロール)異常・糖尿病など、動脈硬化が進行しやすい持病がある方は特に注意が必要です。「ヒートショック」とは一体何なのかヒートショックとは、急激な温度の変化によって血圧が大きく変動するために起こる健康被害のことです。冷たい脱衣所・浴室から熱い湯船に入ったときになどに多く発生しますが、トイレでも下半身が外気にさらされるため注意が必要です。高齢者に多く、浴槽内で失神して溺死することもあれば、不整脈や心筋梗塞・脳梗塞などが起こって突然死につながることもあります。お風呂でヒートショックが起こるメカニズムまず、暖かい部屋から寒い脱衣所へ移動して裸になることで、血管が収縮し、血圧が上昇します。次に、浴室に入って熱いお湯につかり身体が温まると、血管が拡張して血圧が下がります。最後に、温まった身体で寒い脱衣所へ移動することで、血管が収縮し血圧が上昇。このジェットコースターのような激しい血圧の変化が、ヒートショックを引き起こします。当然、夏よりも冬のほうが脱衣所と湯温の温度差は大きくなり、激しい血圧変動を起こします。今日からできる! ヒートショック対策入浴前に脱衣所や浴室を暖める火気には十分に注意しながら、入浴前には暖房器具などで脱衣所を暖めておきましょう。浴室を暖めるには、高い位置に設置したシャワーから給湯し、湯船にお湯をためるのがおすすめです。シャワーの蒸気で浴室全体を暖めることができます。湯温は41度以下、湯船につかる時間は10分まで(*3)寒い冬は熱い湯船が恋しくなりますが、これは急激な血圧低下を招き、ヒートショックの危険性を高めてしまいます。半身浴であっても、長時間入浴すれば体温が上昇する可能性があるので、気をつけましょう。飲酒直後・食後すぐの入浴を控える飲酒直後や食後1時間以内は血圧が下がります。入浴中も血管が拡張して血圧が下がるので、二重に血圧が下がりやすい状態になってしまいます。血圧が下がりすぎると浴槽内で意識を失い(脳貧血)、そのまま溺れてしまうこともあります。忘年会シーズンとはいえ、お酒を飲んでからの入浴はやめましょう。一人での入浴を控えるか、家族に見回ってもらう特に高齢者の場合は、可能であれば一人での入浴を控えたほうがよいでしょう。公衆浴場や日帰り温泉などの入浴施設を活用するのも一案です。高齢者が入浴している間、同居の家族が定期的に見回って、声掛けなどをするのも有効です。ヒートショック予報の活用日本気象協会が運営する天気予報専門メディア「tenki.jp」では、全国の市区町村ごと約1900地点の7日先までの「ヒートショック予報」を提供しており、標準的な戸建住宅における「ヒートショックのリスク目安」を3ランク、5種類のアイコンで表示しています。自身の体調とも相談しつつ、こうした情報をうまく活用するのもよいでしょう。参考文献(*1)(*3)消費者庁 冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!(*2)警察庁 平成29年中の交通事故死者数について e-Statより文:Open Doctors編集部

石川 義弘

2018.12.19

インフルエンザが流行中。感染経路・潜伏期間・症状は?

例年12月から3月にかけて流行するインフルエンザ。感染経路、潜伏期間、症状、予防策などについてまとめました。インフルエンザの感染経路・潜伏期間・症状は?インフルエンザは「インフルエンザウイルス」に感染することで起こる病気です。主な感染経路は、咳(せき)やくしゃみの際に口から発生する小さな水滴による飛沫(ひまつ)感染。1~3日間ほどの潜伏期間を経て、38度以上の発熱、頭痛や関節・筋肉痛などの症状が急に現れるのが特徴です。子どもではまれに急性脳症を、高齢者や免疫力の低下している人では肺炎を伴うなど、重症化することがあります。(*1)「うつさない、もらわない」3つの予防策インフルエンザウイルスの感染を予防する主な方法として、以下の3つが挙げられます。1つ目は「流行前のワクチン接種」高齢者では死亡の危険が5分の1に、入院の危険が約3分の1から2分の1にまで減少することが期待できるとされています。(*2)2つ目は「手洗い」の励行流水・せっけんによる手洗いは、手や指などについたウイルスを物理的に除去する方法として有効です。アルコール製剤による消毒も効果があります。3つ目は「咳エチケット」を心がけることほかの人に向けて咳などをしない。咳やくしゃみが出るときはマスクをする。手のひらで受け止めたらすぐに手を洗う。飛沫を浴びないようにすれば、感染の機会は大きく減少します。去年も予防接種を受けたから、今年は必要ない?インフルエンザワクチンは、そのシーズンに流行が予想されるウイルスを用いて、毎年作り変えられています。前年にワクチン接種を受けた人でも、改めて接種を検討したほうがよいでしょう。重症化しやすい65歳以上の人などは、定期予防接種の対象となっていますので、希望する方は医師に相談しましょう。ちなみに、インフルエンザウイルスには大きく分けてA型・B型・C型の3つの型があり、流行的な広がりを見せるのはA型とB型です。「インフルエンザワクチンは打っても意味がない」は本当かワクチン接種をすれば絶対にインフルエンザにかからない、というわけではありません。しかし、発病や発病後の重症化を予防することには一定の効果があり、「打っても意味がない」というのは誤解です。最も期待される効果は、重症化の予防。特に基礎疾患のある人や高齢者では重症化する可能性が高いと考えられています。肺炎や脳症などの重い合併症を防ぐためにも、ワクチン接種の意義は大きいと言えるでしょう。抗インフルエンザウイルス薬は、早めの服用が効果的本来、インフルエンザは自然治癒傾向のある疾患ですが、これまでの研究では発症から2日(48時間)以内に抗インフルエンザウイルス薬を服用すると、発熱期間は1~2日間短縮され、鼻やのどからのウイルス排出量も減少することが報告されています。(*3)抗インフルエンザ薬には、内服薬のタミフルや吸入薬のリレンザなどがあります。発症から2日以内に服用を開始するのが効果的ですので、慌てることはありませんが、特に乳幼児や基礎疾患のある人などは早めの受診を心がけましょう。薬を飲まなくても注意! 子どもの「異常行動」以前、抗インフルエンザウイルス薬の服用後に、急に走りだす、部屋から飛び出そうとするなどの異常行動が報告されていましたが、最近の調査により必ずしも抗インフルエンザウイルス薬を服用していなくても異常行動が現れることが判明しており、服用の有無にかかわらず注意が必要です。小児・未成年がインフルエンザと診断されたら、少なくとも2日間は1人にさせないようにしてください。件数はわずかですが、転落等による死亡事例もあります。参考文献(*1)国立感染症研究所 インフルエンザとは(*2)厚生労働省 インフルエンザ(総合ページ) 65歳以上の皆様へ(*3)厚生労働省 インフルエンザQ&A文:Open Doctors編集部

谷口 清州

2019.1.30

急増する梅毒。感染経路や症状、検査や治療の方法は?

「梅毒」と聞いてみなさんはどんなことを想像するでしょうか? 「昔の病気でしょ?」「風俗店へ行かなければ大丈夫」そんな風に思っている人が多いかもしれません。しかしこの梅毒、じわじわと感染者数が増えていることをご存じでしょうか? そんな梅毒から身を守るため、感染経路や症状、検査、治療についてまとめました。梅毒の原因は? 主な感染経路は性的接触梅毒とは「梅毒トレポネーマ」という病原菌による感染症です。主な感染経路は性行為など粘膜同士の接触で、性感性症のひとつでもあります。性感染症とは性的接触によって感染する病気のことで、ほかにクラミジアや淋病(りんびょう)などが知られています。また、妊婦が感染すると胎盤を通して胎児に感染し、流産や死産になるおそれがあります。生まれた場合でも、臓器の異常などさまざまな障害を抱えることになります(先天梅毒)。なお、梅毒という病名の由来は、症状に見られる赤い発疹が楊梅(ようばい。ヤマモモの漢名)に似ているからだとも言われています。(*4)第1~4期へじわじわ進行。気になる症状は?梅毒は、感染してすぐには症状が現れません。その経過は第1期から第4期に分けられ、長い月日をかけて徐々に全身を侵していきます。まず、感染から3週間ほどの潜伏期間を経て、感染が起きた箇所にしこりができます。これが第1期で、特に治療をしなくても数週間で症状は消えてしまいます。感染から3カ月ほど経過すると第2期となり、全身に赤い発疹が出たり、性器や肛門の周辺に平らなできものが現れたりします。第2期でも症状だけは再び消えてしまいます。感染から3年ほど経過すると第3期となり、ゴムのような弾力のあるできものが、皮膚や筋肉、骨などにもできます。さらに進むと第4期になり、血管や神経まで侵され歩行が困難になるなど、日常生活にも支障を来す可能性があり、場合によっては死に至ることもあります。早期発見のキーワードは「約4週間」梅毒に感染しているかどうかは、血液検査で分かります。しかし、感染から3週間ほどは抗体検査をしても陽性反応が出ないこともあります。症状が出ても、感染したと思われる日から約4週間経過してから検査を受けるようにしてください。梅毒に感染していた場合、自分のパートナーも感染している可能性があります。必要に応じて、一緒に治療を行うことが重要です。治療は抗菌薬(ペニシリン系)の内服第1期や第2期の場合は、抗菌薬(ペニシリン系)の内服で完治します。梅毒は治療しなくても一時的に症状が消えるという特徴があるので、「もう治った」などと自己判断せず、処方された薬をきっちり飲みきることが大事です。また、一度完治しても感染を繰り返す可能性があります。適切な予防策を取らなければ、再感染の危険は十分にあります。自分もパートナーも守る。梅毒の予防策まずは不特定多数の人との性行為を避けること、そして、性行為の際はコンドームを使用することです。しかし、キスやオーラルセックスなどでも感染する可能性があるため、コンドームだけで100%予防できるわけではありません。皮膚や粘膜に異常が出た場合は性的な接触を控え、早めに泌尿器科や婦人科を受診しましょう。参考文献(*1)性感染症報告数 – 厚生労働省(*2)梅毒患者の増加で注意喚起 – 日医on-line(*3)感染症発生動向調査で届出られた梅毒の概要(*4)梅毒に関するQ&A – 厚生労働省文:Open Doctors編集部

石川 義弘

2019.1.30

Open Doctorsは病気についての正しい知識をやさしい言葉で紹介。お医者さんとの間にある情報の差を解消することで、あなたの意思決定を支援します。

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市民・患者のための健康・医療コミュニケーション学会