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produced by市民・患者のための健康・医療コミュニケーション学会

梅村先生の『健康診断を10倍面白く受ける方法』

シリーズ別記事一覧

健康診断の心電図検査でわかることって一体何?

学校での心臓検診や、会社の入社時の健康診断や、会社などでの定期健康診断では、心電図の検査を行います。心臓に異常があるかどうかを調べる検査だということは知られていますが、詳しいことは知らない方が多いのではないでしょうか? ここでは心電図とはどんな仕組みで、どんなことがわかるのかを解説していきます。『ドクターX』城之内先生の「サイナス」ってどういう意味?心臓が他の臓器と違う大きな特徴は、絶えず動いている点です。しかも、心臓の筋肉(心筋)は、すべての筋肉が同時に動くのではなく、効率よく血液を送り出すために、心筋が上から下に順番に絞り込むように収縮していきます。収縮している心臓の細胞は「興奮」しているのですが、その電気的興奮を身体の表面で検出し、記録するのが心電図です。心臓の「興奮」は右心房にある洞房結節から発生する電気刺激(興奮)により開始します。言い換えれば、洞房結節が興奮のスタート地点であり、心拍(リズム)を司ります。この電気的興奮は、特殊な電気を流しやすい心筋細胞(刺激伝導系と呼ばれます)を上から下に伝わって、順番に心筋を興奮させることで、正常な収縮が起こります。「心筋の興奮の伝導」を野球のスタジアムのウェーブに例えると、観客が一つ一つの心筋細胞だとすると、応援団長の号令に合わせて、端から順番に観客がウェーブ(心筋でいう興奮と収縮)をするのに似ています。この興奮のスタート地点である洞房結節を英語で「サイナスノード」といいます。ドラマ『ドクターX』に登場する大門未知子の相棒、麻酔科医の城之内博美の決めセリフで「血圧いくつ、脈拍いくつ、サイナス」というものがありますが、「サイナス」とは心臓が正常なリズムで動いているという意味です。心電図には3つの山があります。最初の山が「P波」という小さな波形。次の山が「QRS派」という大きな波形。最後の山が「T波」という中ぐらいの波形です。この3つの山が正しいリズムで繰り返し現れます。P波は心房の興奮、QRS波は心室の興奮、T波は心室の興奮がおさまっていく時の波形を表しています。心房の興奮のおさまりを表す波は小さいので、QRSの大きな波に隠れて見えません。心電図からわかるのは「心拍リズム」と「心筋の状態」心電図からは様々な情報が得られますが、特に「心拍リズム」と「心筋の状態」の2つが重要です。心臓の拍動するタイミングがずれたり、正しい順番で心臓が興奮しないことを不整脈と呼びます。心電図では、P波とQRS波とT波の3つの山が欠けたり、波の形が変形をすることがあります。不整脈の種類によって様々な波型の異常が現れます。正常な心臓の興奮のスタート地点である洞房結節以外から最初の興奮が起こることもあります。また、3つの山が見えずに、波が小刻みしか見えない状態を心室細動といいます。心室細動では心臓のポンプの働きの大部分を担っている心室の心筋細胞が小刻みかつバラバラに震えて全身に血液が送れなくなるため、死に至ることがあります。その場合には、一刻も早い電気ショックでの治療が必要です心電図によって心臓の筋肉(心筋)の状態が悪くなっているかどうかもわかります。心臓の血管(冠状動脈)が細くなり、心筋への血流が悪くなると虚血(血液が足りない)状態になって、心筋が栄養不足、酸素不足になります。これを狭心症といいます。また、心臓の血管が血栓などで詰まると、心筋は壊死を起こすことがあります。これを心筋梗塞といいます。虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)は死につながる重い病気なので注意が必要です。心電図検査は、体への負担が少なく、値段も比較的安く、時間もかかりませんが、色々な情報がわかる便利な検査です。せっかく検査を受けたわけですから、ぜひ仕組みや役割を理解した上で活用してください。

梅村 将就

2021.1.14

大切な腎臓を守るために覚えておきたい「血液検査」2つのキーワード

腎臓は人の体を正常に保つために欠かせない臓器です。腎臓の異常をチェックするには、健康診断が欠かせません。健康診断では、主に尿検査と血液検査で腎臓に異常がないかどうかを調べます。ここでは、血液検査で知っておいたほうがいい2つのキーワード「Cr(クレアチニン)」と「BUN(尿素窒素)」についてご説明します。血液中の「溜まったゴミ」の有無で腎機能をチェック血液検査では、「Cr(クレアチニン)」と「BUN(尿素窒素)」を見ます。難しい言葉のように思われがちですが、いずれも体内の老廃物だと考えてください。Cr(クレアチニン)は、筋肉が動くときに使われるクレアチリン酸がエネルギーを消費した後に分解されてできたもので、血液中に排出された後は腎臓でろ過されて、すべて尿として体外に排出されます。BUN(尿素窒素)はタンパク質が体の中で分解されたときにできる物質です。BUNの値が高ければ、BUNが血中に多くとどまっているということになり、クレアチニンと同様に腎臓の機能が低下していることが疑われます。CrもBUNも血中の不要な物質、つまり「体に溜まったゴミ」です。本当はすべて捨てられていないといけない血中のゴミがどれぐらい溜まっているかで、腎臓の機能が十分に働いているかを見ているわけです。つまり値が高ければ高いほど、よくないということになります。血液検査でわかる「痛風」の予兆他にも、腎機能検査での血液検査でわかる数値としては、よく知られている「尿酸値」があります。尿酸値は尿検査ではなく、血液検査でわかるのです。細胞の中には核酸(DNAなど)がありますが、DNAの構成成分であるプリン体が分解されると最後は尿酸になります。尿酸はろ過されて尿として排出されますが、プリン体の大量摂取などによって尿酸を排出しきれなくなって尿酸値が上がると、主に手足の関節で結晶化して、炎症を起こし、結果として痛風になってしまうわけです。ビールにはプリン体が含まれており、そのため、尿酸値が高い人のためにプリン体がカットされたビールなどが売られています。お肉などにも多く含まれています。痛風はその名のとおり、とても痛くて日常生活にも支障が出ますので、この値にも注意してください。これまで挙げてきた5つのキーワード「尿蛋白」「尿糖」「尿潜血」「Cr(クレアチニン)」「BUN(尿素窒素)」を理解した上で、ぜひ健康診断を受けて腎臓の機能をチェックしてください

梅村 将就

2021.1.7

大切な腎臓を守るために覚えておきたい「尿検査」3つのキーワード

腎臓はなかなか症状が出にくい臓器であり、肝臓とともに「沈黙の臓器」とも言われます。そのため、腎臓の異常をチェックするには、健康診断が欠かせません。健康診断では、主に尿検査と血液検査で腎臓に異常がないかどうかを調べます。ここでは、尿検査で知っておいたほうがいい3つのキーワード「尿蛋白」「尿糖」「尿潜血」についてご説明します。尿検査でわかる腎臓の病気とは?まずは尿検査で出る「尿蛋白(たんぱく)」。これは本来なら腎臓でろ過されないはずのアルブミンというタンパク質が尿の中に混ざってしまっている状態です。本来ろ過されないタンパク質がろ過されてしまっているということは、腎臓で重要な役割を持つ「糸球体」のろ過機能に異常があることが疑われます(糸球体については前回のコラムを参照してください)。本来ろ過されないのものが、糸球体の網目をかいくぐって尿に混ざってしまっているからです。つまり、尿蛋白は糸球体の異常を見ているのです。糸球体に異常があれば、糸球体腎炎が疑われます。ただし、腎機能に明らかな異常がない場合でも、運動などにより尿蛋白が検出されてしまう場合があるので、尿検査で異常を指摘された際には精密検査で本当に異常なのかをしっかり調べることが重要です。次が「尿糖」です。ブドウ糖は粒子が小さいため、糸球体でろ過されてしまいますが、重要な物質なので尿細管で100%再吸収されます。せっかく摂取した栄養を捨ててしまってはもったいないですよね。しかし、血液中のブドウ糖の値である血糖値が通常の値の2倍を超えると、再吸収しなくてはならないブドウ糖が多すぎて、尿細管での再吸収が追いつかなくなります。そのため、再吸収しきれないブドウ糖が尿に出てしまうのです。尿糖が出ていれば、血液の中のブドウ糖が多い状態ということになり、つまり糖尿病が疑われます。「尿潜血」は尿に赤血球が混入している場合に陽性になります。これは腎臓だけでなく、尿管や膀胱、尿道からの出血でも起こることがあります。肉眼では尿への血液の混在がわからない場合を尿潜血、肉眼でも見える場合を肉眼的血尿と呼びます。尿潜血が見られる場合には、糸球体が炎症を起こしているなどの異常が疑われます。肉眼で血尿が認められる場合は、膀胱腫瘍(膀胱がん)、尿路結石などの可能性も考えなければいけません。なお、女性の場合は月経中に陽性になることがあるなど、明らかな異常がない場合でも尿潜血を認めることがあります。異常が見つかったら放置せず、精密検査で原因をしっかり調べましょう

梅村 将就

2020.12.24

大切な腎臓を守るために覚えておきたい健康診断の5つのキーワード

腎臓の病気が進行してしまうと、腎臓の機能が低下し、十分にその機能を果たせなくなってしまいます。その結果、場合によっては腎臓の機能を代替するために人工透析が必要になることがあります。そうならないためにも重要なのが健康診断です。健康診断では腎臓の機能のチェックもしっかり行います。ここでは、どのような検査のどのような項目を見れば、腎臓の機能がわかるのかを説明していきたいと思います。腎臓の働きは「ろ過」まずは、腎臓の働きを知りましょう。腎臓の働きを簡単に言うなら「ろ過」です。腎臓は1日に150リットルの血液をろ過して、体内で作られた老廃物や毒物を1日1.5リットルの尿として排出しています。腎臓の機能が低下してしまうと、体内に余分な水分、老廃物や毒素が蓄積してしまうことになります。ろ過は腎臓の中にある「糸球体」で行われます。細い血管が毛糸の球のように丸まってできているもので、ここで水や老廃物などがろ過されます。ろ過されないものは、赤血球やタンパク質(アルブミンなど)などです。ろ過されたものが尿として排出され、ろ過されなかったものは再び体に戻っていきます。ただし、ろ過されるかどうかは、それぞれの物質の大きさだけで決まります。アルブミンより大きな粒子のものはろ過されません。一方、重要なものでも粒子が小さいものは、ろ過されてしまいます。それらは、「尿細管」という場所で再吸収され、再び体に戻されます。ほかにも腎臓には、余計な水分を尿として排出することで体内の水分量を適切に調節する働き、ナトリウムやカリウムなどのミネラルや化合物のバランスを調整する働きや、血圧を調整する働きなどがあります。健康診断では、主に尿検査と血液検査の2つの検査で腎臓に異常がないかどうかを調べます。尿検査では「尿蛋白」「尿糖」、「尿潜血」、血液検査では「Cr(クレアチニン)」「BUN(尿素窒素)」を調べます。次回以降、それぞれどのような意味があるのかを解説するので、この5つの言葉の意味をぜひ理解してください。

梅村 将就

2020.12.17

病気をしたら「100%の身体」には戻れない理由

まず重要なことをおさえておきたいと思います。病気になったら、身体が100%元の状態に戻るということはほとんどないと思ってください。表面上は戻ったように見えても、定期的な通院や服薬など、色々大変なことがついて回る場合が多いです。これは覚えておいてください。ですから、「病気になってからお医者さんに行けばいいや」とか「病気になってから治せばいいや」という考え方は間違っています。完全に治る場合もないわけではありませんが、一般的には100%戻ることはありません。心筋梗塞を例に挙げてみましょう。心筋梗塞は、心臓の血管が詰まり、心臓の筋肉などに酸素が届かなくなって栄養不足になり、どんどん腐って壊死していく病気です。血管が詰まってから心筋が壊死するまで、たったの20分しかありません。20分で病院に行き、カテーテル治療を行って、血管の詰まりをなくすことは不可能です。我々医師はなるべく頑張って治療しますが、壊死した筋肉は生き返ることはありません。100%の身体には戻らないことがおわかりでしょう。また、病気になったら通院する必要があります。時間もお金もかかります。心筋梗塞になると、血管にステントという金属の網を入れる治療をすることがあります。ステントは人工物なので、放置しておくと血の塊ができて血管が詰まりやすいため、血液をサラサラにする薬を長期間飲み続ける必要があります。場合によっては一生のこともあります。その薬の作用で、身体をどこかにぶつけたらすぐに内出血するようになったり、歯を抜いたら血が止まりにくくなったりすることもあります。胃カメラや大腸カメラの時には、お薬をやめないと組織を摘まんで組織検査もできません。肺気腫といって、肺の組織が壊れて、呼吸が苦しくなる病気があります。一度壊れた肺の組織が元に戻ることはありません。肺気腫が重症化すれば、鼻から酸素を吸入するための酸素ボンベが必要になります。この治療を在宅酸素といいます。酸素ボンベは家の中でも使いますし、外出の際にはボンベが入ったカートを引いて歩かなければなりません。定年して第二の人生を楽しみたいと思っていたのに、これでは飛行機に乗ってハワイなどの海外旅行に行こうと思ってもなかなか難しいでしょう。つまり、病気にならないようにするのが一番なのです。そのためには、事前にある程度の知識をつけて、準備をしておく必要があります。健康診断は、そのための第一歩です。とはいえ、悪いところを探すばかりが健康診断の目的ではありません。人気医療ドラマ『コード・ブルー』で、山下智久さん演じる藍沢先生はこんなことを言っていました。「検査は何か発見できる場合にだけ意味があるんじゃない。 何もないと証明できれば患者は安心して家に帰れる。 気になったら答えが出るまでやれ」カッコいいこと言いますね。健康診断も同じで、異常がないことを確認し、安心するのも一つの目的です。検査や数値の意味を知り、健康と病気に対する意識を高めていきましょう。病気にならないために、ぜひ健康診断を有効活用してください。

梅村 将就

2020.4.10

健康診断の一番の目的は「動脈硬化の進行を遅らせる」こと

健康診断では身体のいろいろな部分を検査しますが、もっとも重要な目的は「動脈硬化の進展を遅らせる」ことです。動脈硬化とは、動脈が肥厚して硬くなった状態のことを言います。動脈硬化によって引き起こされるさまざまな病態を動脈硬化症と呼びます。動脈をチクワのように縦切りにしてみましょう。動脈硬化がひどくなると、血管の内側にコレステロールが溜まってコブになります。これをアテローム硬化と言います。コブはだんだん内側にせり出してくるので、血液が流れにくくなります。川幅が狭くなると川の水が流れにくくなるのと一緒です。今度はチクワ(動脈)を輪切りにしてみます。血管の内側にコレステロールが溜まっているのがよくわかると思います。血液が流れるところが、これぐらい細くなってしまうこともあるのです。動脈は体中にはりめぐらされている血管です。ということは、身体のどこで動脈硬化が起こってもおかしくありません。動脈硬化が心臓の表面にある冠動脈で起こり、血液の流れが悪くなれば狭心症、コレステロールを覆っている膜が何かの拍子に破れて血液が固まり、冠動脈が詰まれば心筋梗塞になります。これが頭で起こると脳梗塞です。足の血管に動脈硬化が起これば、閉塞性動脈硬化症になります。足の血流が悪くなるため、長時間歩くと足が痛くなってしまい、休み休みでないと歩けなくなります。これらの原因はすべて、動脈硬化なのです。脳梗塞や心筋梗塞は命にかかわる病気です。リハビリも大変ですし、生活の質が低下する可能性も大きくなります。健康な生活をおくるには、動脈硬化を防がなければいけません。そのために非常に役に立つのが健康診断なのです。健康診断で行う、心電図、眼底検査、上腕動脈と足関節上部で測定する血圧の比、脈拍の触れ方、左右差、頸動脈エコーなどの検査結果によって、動脈硬化の進展具合がわかります。これらの検査については、あらためて別のコラムで説明していきますので、ぜひお読みください。また、動脈硬化の危険因子(原因)についても、あらためて解説します。健康診断とこの健診コラムを活用して、動脈硬化を防ぎましょう。

梅村 将就

2020.3.26

酒好きなら健康診断で確認を! 肝臓へのダメージが分かる3項目

アルコールの飲み過ぎによって、いろいろな臓器に病気が発生しますが、なかでも多いのが肝臓の病気です。肝臓は、いろいろな物質の分解と合成を行っている臓器です。たとえば、アルブミンという体に必要なタンパク質を合成したり、アンモニアという体に悪いものを尿素という体に悪くないものに変えたりしています。アルコールは身体にとっては毒のようなものなので肝臓で分解しています。しかし、分解しきれないほどのアルコールを摂取すると、肝臓に負担がかかってアルコール性肝炎、脂肪肝などの病気になります。治療せず放置していれば進行し、肝硬変や肝がんにつながることもあります。しかし、肝臓は「沈黙の臓器」と言われており、異常が出てもほとんど症状が出ないので注意が必要です。健康診断では、採血によって肝臓の検査を行います。ALT(GOT)、AST(GPT)は、いずれも酵素の一種で、それぞれ2種類の呼び方があります。肝臓にアルコールや肝炎などで負担がかかって肝臓の細胞が壊れると、細胞の中にあったALTとASTという酵素が血液の中に漏れ出てきます。つまり、採血して血液中のALTやASTを測れば、破裂してしまった肝細胞の数がわかるということです。お酒に関する値としてよく知られているのが、γ-GTP(ガンマ-ジーティーピー)です。これも酵素の一種で、タンパク質を分解する役割があります。γ-GTPは胆管(肝臓から十二指腸まで胆汁を運ぶ管)でつくられる酵素ですが、肝臓や胆管が傷つけば、γ-GTPが胆管細胞から血液の中に漏れ出てきます。特にアルコールに鋭敏に反応するので、肝障害を起こしていなくても普段からよくお酒を飲む人は数値が上昇します。一般的なγ-GTP検査値の基準値は、男性が50U/L以下、女性が30U/Lとされています。基準値を超えるようでしたら、お酒をやめるか、量を控えなければいけません。肝臓は1時間に日本酒1/3合のアルコールしか分解できません。つまり4合飲めば12時間かかるということです。大量の飲酒がいかに肝臓に負担をかけているかよくわかりますね。くれぐれも飲み過ぎに注意して、肝臓を大切にしましょう。

梅村 将就

2020.3.19

健康診断の3日前から断酒する人が「残念」な理由

身体が元気でも、健康診断の結果、数値に異常が見つかったら、かかりつけのお医者さんに相談したり、精密検査を受けたりしてください。健康診断は、車検と一緒です。愛車を車検に出して、業者の人から「エンジンが壊れていましたよ」とか「タイヤがすり減っていましたね」と言われたのに、「直しませんでした」と言われてそのまま車が戻ってきたら、みなさんどう思いますか?「検査で異常が見つかったのに、どうして直さないの?」と思うのではないでしょうか。健康診断で数値に異常が見つかったのに精密検査に行かないのは、車検で異常が見つかった車にそのまま乗っているのと同じことです。また、健康診断は「自分の身体の通信簿」です。毎年もらえる通信簿と考えてください。自分の子どもには通信簿を見せろというのに、パートナーには自分の健康診断の結果を隠す、なんて人はいませんか? 数値といえば、健康診断のとき、「3日前から断酒してコンディションを仕上げてきました」とドヤ顔をする方がいます。これは二重の意味で残念です。まず、健康診断は数値を競うオリンピックではありません。その日に良い数値を出せばいいというわけではないのです。日頃の身体の状態を知ることが重要なので、良い数値を出そうと3日前から努力しても意味がありません。もう一つ、3日前からでは数値は変わりません。特にお酒に関係する項目のγ-GTPは100だった値が50になるまで3週間かかります。だから、飲んでいるのはバレバレなのです。数字は嘘をつきません。γ-GTPの値を下げたいなら、日頃から断酒、節酒したほうがいいでしょう。健康診断は身体の悪いところを見つけて治すために行うものです。ぜひ活用してください。

梅村 将就

2020.3.12

健康診断と人間ドックはどう違うの?

健康診断と人間ドックはどう違うのかといいますと、実はあまり大きくは変わりません。違いがあるとすれば、人間ドックのほうが検査の項目が多いことでしょうか。たとえば、腹部エコー(腹部に超音波をあてて調べる検査)は、人間ドックでは行うことが多いです。あとは眼圧検査という緑内障などを調べる検査があります。さらにオプションを付けて、いろいろ細かな検査を受けることができます。とはいえ、検査の項目が多くても、それがどういう意味を持つ検査なのか知らなかったり、検査結果を見ても意味がわからなかったりしたら、人間ドックも健康診断もあまり変わらないということになります。人間ドックは自分の意思で受ける「任意型健診」ですが、健康診断は雇用形態にもよりますが、一般には会社員の方なら会社によって年に1回受けることが義務付けられています。また、人間ドックの費用は自己負担ですが、健康診断はほとんどの場合、費用は会社負担です。人間ドックでも、会社がある程度お金を負担してくれることがあるので、興味がある方は総務部などに問い合わせてみてください。人間ドックに比べると、健康診断の方が受ける機会が多く、費用面から見ても受けやすいということは言えると思います。大切なのは、健康診断にせよ人間ドックにせよ、その結果がどういう意味を持つのか、知ろうとすること。せっかくお金をかけてもらったフィードバックを改善に生かさず、ただ捨ててしまうのでは、あまりにもったいないと思いませんか?このコラムでは、健康診断の結果でみなさんが疑問に思われるであろうことを詳しく解説していきます。次回も続けて読んでくださいね。

梅村 将就

2020.3.5

胸部X線検査(胸のレントゲン)で何が分かるの?

胸部X線は、心臓の大きさや血管の太さ、肺に影がないかなどを調べています。これにより、肺の病気や心不全などの心臓の病気など、色々なことがわかるのです。心不全とは、心臓のポンプ機能が何らかの原因で破綻したり、弱まったりして、全身の臓器に必要な血液を送り出せなくなった状態のことを指します。心不全の原因としては、弁膜症、虚血性心疾患、心筋症、先天性心疾患などの心臓の病気や高血圧など、さまざまなものが挙げられます。胸部X線では心臓は白く、肺は黒く写ります。なぜなら、X線は「空気→水→骨」の順で「黒→白」という風に写るからです。骨が白く写って、空気は黒く写るわけですが、肺は空気をたくさん含んだスポンジみたいなものなので、ほとんど黒く写ります。一方、心臓は血液を入れた袋のようなものなので白っぽく写ります。心不全になると心臓のポンプとしての働きが弱くなり、どんどん血液が渋滞して、心臓のほうにも血液が溜まっていき、心臓が大きくなってしまいます。胸部X線によって心臓の白いシルエットが大きくなっていれば、可能性の一つとして、心不全が疑われるのです。胸部X線を横から撮ることもありますが、これは心臓などに異常があった場合、前から見たときにわからない位置関係を側面から調べるために行っているのです。ちなみに、「肺がん」というと「胸部X線で肺に影がある」と思われるかもしれませんが、初期の肺がんはCT検査や喀痰検査(かくたんけんさ:吐き出した痰を調べる検査)などで詳しく調べないと見つからないこともありますので、胸部X線写真が「異常なし」という結果でも、注意が必要です。

梅村 将就

2020.1.23

Open Doctorsは病気についての正しい知識をやさしい言葉で紹介。お医者さんとの間にある情報の差を解消することで、あなたの意思決定を支援します。

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市民・患者のための健康・医療コミュニケーション学会