大切な腎臓を守るために覚えておきたい「血液検査」2つのキーワード
最終更新日:2021.1.7

腎臓は人の体を正常に保つために欠かせない臓器です。腎臓の異常をチェックするには、健康診断が欠かせません。
健康診断では、主に尿検査と血液検査で腎臓に異常がないかどうかを調べます。ここでは、血液検査で知っておいたほうがいい2つのキーワード「Cr(クレアチニン)」と「BUN(尿素窒素)」についてご説明します。
血液中の「溜まったゴミ」の有無で腎機能をチェック
血液検査では、「Cr(クレアチニン)」と「BUN(尿素窒素)」を見ます。難しい言葉のように思われがちですが、いずれも体内の老廃物だと考えてください。
Cr(クレアチニン)は、筋肉が動くときに使われるクレアチリン酸がエネルギーを消費した後に分解されてできたもので、血液中に排出された後は腎臓でろ過されて、すべて尿として体外に排出されます。
BUN(尿素窒素)はタンパク質が体の中で分解されたときにできる物質です。BUNの値が高ければ、BUNが血中に多くとどまっているということになり、クレアチニンと同様に腎臓の機能が低下していることが疑われます。
CrもBUNも血中の不要な物質、つまり「体に溜まったゴミ」です。本当はすべて捨てられていないといけない血中のゴミがどれぐらい溜まっているかで、腎臓の機能が十分に働いているかを見ているわけです。つまり値が高ければ高いほど、よくないということになります。
血液検査でわかる「痛風」の予兆
他にも、腎機能検査での血液検査でわかる数値としては、よく知られている「尿酸値」があります。尿酸値は尿検査ではなく、血液検査でわかるのです。
細胞の中には核酸(DNAなど)がありますが、DNAの構成成分であるプリン体が分解されると最後は尿酸になります。尿酸はろ過されて尿として排出されますが、プリン体の大量摂取などによって尿酸を排出しきれなくなって尿酸値が上がると、主に手足の関節で結晶化して、炎症を起こし、結果として痛風になってしまうわけです。
ビールにはプリン体が含まれており、そのため、尿酸値が高い人のためにプリン体がカットされたビールなどが売られています。お肉などにも多く含まれています。痛風はその名のとおり、とても痛くて日常生活にも支障が出ますので、この値にも注意してください。
これまで挙げてきた5つのキーワード「尿蛋白」「尿糖」「尿潜血」「Cr(クレアチニン)」「BUN(尿素窒素)」を理解した上で、ぜひ健康診断を受けて腎臓の機能をチェックしてください
横浜市立大学 医学部 講師・医学博士
横浜市立大学医学部医学科 循環制御医学教室・講師。
医学博士、日本内科学会 総合内科専門医、日本循環器学会認定 循環器専門医。
大学病院や市中病院での勤務を経て、ラトガース大学留学後、現職。
医学部生・理学部生及び大学院生(修士・博士課程)への講義、実習及び研究指導を行っている。
横浜市立大学医学部・ベストティーチャー個人賞を3年連続受賞(2018年、2019年、2020年)。