大切な腎臓を守るために覚えておきたい健康診断の5つのキーワード
最終更新日:2020.12.17

腎臓の病気が進行してしまうと、腎臓の機能が低下し、十分にその機能を果たせなくなってしまいます。その結果、場合によっては腎臓の機能を代替するために人工透析が必要になることがあります。
そうならないためにも重要なのが健康診断です。健康診断では腎臓の機能のチェックもしっかり行います。ここでは、どのような検査のどのような項目を見れば、腎臓の機能がわかるのかを説明していきたいと思います。
腎臓の働きは「ろ過」
まずは、腎臓の働きを知りましょう。腎臓の働きを簡単に言うなら「ろ過」です。腎臓は1日に150リットルの血液をろ過して、体内で作られた老廃物や毒物を1日1.5リットルの尿として排出しています。腎臓の機能が低下してしまうと、体内に余分な水分、老廃物や毒素が蓄積してしまうことになります。
ろ過は腎臓の中にある「糸球体」で行われます。細い血管が毛糸の球のように丸まってできているもので、ここで水や老廃物などがろ過されます。
ろ過されないものは、赤血球やタンパク質(アルブミンなど)などです。ろ過されたものが尿として排出され、ろ過されなかったものは再び体に戻っていきます。
ただし、ろ過されるかどうかは、それぞれの物質の大きさだけで決まります。アルブミンより大きな粒子のものはろ過されません。一方、重要なものでも粒子が小さいものは、ろ過されてしまいます。それらは、「尿細管」という場所で再吸収され、再び体に戻されます。

ほかにも腎臓には、余計な水分を尿として排出することで体内の水分量を適切に調節する働き、ナトリウムやカリウムなどのミネラルや化合物のバランスを調整する働きや、血圧を調整する働きなどがあります。
健康診断では、主に尿検査と血液検査の2つの検査で腎臓に異常がないかどうかを調べます。尿検査では「尿蛋白」「尿糖」、「尿潜血」、血液検査では「Cr(クレアチニン)」「BUN(尿素窒素)」を調べます。次回以降、それぞれどのような意味があるのかを解説するので、この5つの言葉の意味をぜひ理解してください。
横浜市立大学 医学部 講師・医学博士
横浜市立大学医学部医学科 循環制御医学教室・講師。
医学博士、日本内科学会 総合内科専門医、日本循環器学会認定 循環器専門医。
大学病院や市中病院での勤務を経て、ラトガース大学留学後、現職。
医学部生・理学部生及び大学院生(修士・博士課程)への講義、実習及び研究指導を行っている。
横浜市立大学医学部・ベストティーチャー個人賞を3年連続受賞(2018年、2019年、2020年)。