酒好きなら健康診断で確認を! 肝臓へのダメージが分かる3項目
最終更新日:2020.3.19

アルコールの飲み過ぎによって、いろいろな臓器に病気が発生しますが、なかでも多いのが肝臓の病気です。
肝臓は、いろいろな物質の分解と合成を行っている臓器です。たとえば、アルブミンという体に必要なタンパク質を合成したり、アンモニアという体に悪いものを尿素という体に悪くないものに変えたりしています。アルコールは身体にとっては毒のようなものなので肝臓で分解しています。
しかし、分解しきれないほどのアルコールを摂取すると、肝臓に負担がかかってアルコール性肝炎、脂肪肝などの病気になります。治療せず放置していれば進行し、肝硬変や肝がんにつながることもあります。しかし、肝臓は「沈黙の臓器」と言われており、異常が出てもほとんど症状が出ないので注意が必要です。
健康診断では、採血によって肝臓の検査を行います。
ALT(GOT)、AST(GPT)は、いずれも酵素の一種で、それぞれ2種類の呼び方があります。
肝臓にアルコールや肝炎などで負担がかかって肝臓の細胞が壊れると、細胞の中にあったALTとASTという酵素が血液の中に漏れ出てきます。つまり、採血して血液中のALTやASTを測れば、破裂してしまった肝細胞の数がわかるということです。
お酒に関する値としてよく知られているのが、γ-GTP(ガンマ-ジーティーピー)です。これも酵素の一種で、タンパク質を分解する役割があります。
γ-GTPは胆管(肝臓から十二指腸まで胆汁を運ぶ管)でつくられる酵素ですが、肝臓や胆管が傷つけば、γ-GTPが胆管細胞から血液の中に漏れ出てきます。
特にアルコールに鋭敏に反応するので、肝障害を起こしていなくても普段からよくお酒を飲む人は数値が上昇します。一般的なγ-GTP検査値の基準値は、男性が50U/L以下、女性が30U/Lとされています。基準値を超えるようでしたら、お酒をやめるか、量を控えなければいけません。
肝臓は1時間に日本酒1/3合のアルコールしか分解できません。つまり4合飲めば12時間かかるということです。大量の飲酒がいかに肝臓に負担をかけているかよくわかりますね。くれぐれも飲み過ぎに注意して、肝臓を大切にしましょう。
横浜市立大学 医学部 講師・医学博士
横浜市立大学医学部医学科 循環制御医学教室・講師。
医学博士、日本内科学会 総合内科専門医、日本循環器学会認定 循環器専門医。
大学病院や市中病院での勤務を経て、ラトガース大学留学後、現職。
医学部生・理学部生及び大学院生(修士・博士課程)への講義、実習及び研究指導を行っている。
横浜市立大学医学部・ベストティーチャー個人賞を3年連続受賞(2018年、2019年、2020年)。