ヒートショックによる突然死にご用心
最終更新日:2018.12.19

「ヒートショック」とは一体何なのか
ヒートショックとは、急激な温度の変化によって血圧が大きく変動するために起こる健康被害のことです。冷たい脱衣所・浴室から熱い湯船に入ったときになどに多く発生しますが、トイレでも下半身が外気にさらされるため注意が必要です。高齢者に多く、浴槽内で失神して溺死することもあれば、不整脈や心筋梗塞・脳梗塞などが起こって突然死につながることもあります。お風呂でヒートショックが起こるメカニズム
まず、暖かい部屋から寒い脱衣所へ移動して裸になることで、血管が収縮し、血圧が上昇します。次に、浴室に入って熱いお湯につかり身体が温まると、血管が拡張して血圧が下がります。最後に、温まった身体で寒い脱衣所へ移動することで、血管が収縮し血圧が上昇。このジェットコースターのような激しい血圧の変化が、ヒートショックを引き起こします。当然、夏よりも冬のほうが脱衣所と湯温の温度差は大きくなり、激しい血圧変動を起こします。今日からできる! ヒートショック対策
入浴前に脱衣所や浴室を暖める
火気には十分に注意しながら、入浴前には暖房器具などで脱衣所を暖めておきましょう。浴室を暖めるには、高い位置に設置したシャワーから給湯し、湯船にお湯をためるのがおすすめです。シャワーの蒸気で浴室全体を暖めることができます。湯温は41度以下、湯船につかる時間は10分まで(*3)
寒い冬は熱い湯船が恋しくなりますが、これは急激な血圧低下を招き、ヒートショックの危険性を高めてしまいます。半身浴であっても、長時間入浴すれば体温が上昇する可能性があるので、気をつけましょう。飲酒直後・食後すぐの入浴を控える
飲酒直後や食後1時間以内は血圧が下がります。入浴中も血管が拡張して血圧が下がるので、二重に血圧が下がりやすい状態になってしまいます。血圧が下がりすぎると浴槽内で意識を失い(脳貧血)、そのまま溺れてしまうこともあります。忘年会シーズンとはいえ、お酒を飲んでからの入浴はやめましょう。一人での入浴を控えるか、家族に見回ってもらう
特に高齢者の場合は、可能であれば一人での入浴を控えたほうがよいでしょう。公衆浴場や日帰り温泉などの入浴施設を活用するのも一案です。高齢者が入浴している間、同居の家族が定期的に見回って、声掛けなどをするのも有効です。ヒートショック予報の活用
日本気象協会が運営する天気予報専門メディア「tenki.jp」では、全国の市区町村ごと約1900地点の7日先までの「ヒートショック予報」を提供しており、標準的な戸建住宅における「ヒートショックのリスク目安」を3ランク、5種類のアイコンで表示しています。自身の体調とも相談しつつ、こうした情報をうまく活用するのもよいでしょう。参考文献
横浜市立大学 副学長/大学院医学研究科教授
横浜市立大学・副学長/大学院医学研究科・教授。Open Doctorsの監修医師。
エール大学医学部留学を経て横浜市立大学医学部卒業。マサチューセッツ総合病院科研究員、コロンビア大学、ハーバード大学医学部助教授、ラトガーズ大学医学部教授・同附属病院指導医などを経て現職。