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監修医師 梅村 将就の写真

横浜市立大学 医学部 講師・医学博士

梅村 将就

プロフィール

横浜市立大学医学部医学科 循環制御医学教室・講師。
医学博士、日本内科学会 総合内科専門医、日本循環器学会認定 循環器専門医。
大学病院や市中病院での勤務を経て、ラトガース大学留学後、現職。
医学部生・理学部生及び大学院生(修士・博士課程)への講義、実習及び研究指導を行っている。
横浜市立大学医学部・ベストティーチャー個人賞を3年連続受賞(2018年、2019年、2020年)。

略歴

横浜市立大学大学院医学研究科博士課程修了
市中の病院で循環器内科医として勤務後、ラトガース大学へ米国留学。
2012年に帰国し、横浜市立大学医学部医学科循環制御医学に赴任し、現在に至る。

横浜市立大学大学院 医学研究科 循環制御医学

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健康診断の心電図検査でわかることって一体何?

学校での心臓検診や、会社の入社時の健康診断や、会社などでの定期健康診断では、心電図の検査を行います。心臓に異常があるかどうかを調べる検査だということは知られていますが、詳しいことは知らない方が多いのではないでしょうか? ここでは心電図とはどんな仕組みで、どんなことがわかるのかを解説していきます。『ドクターX』城之内先生の「サイナス」ってどういう意味?心臓が他の臓器と違う大きな特徴は、絶えず動いている点です。しかも、心臓の筋肉(心筋)は、すべての筋肉が同時に動くのではなく、効率よく血液を送り出すために、心筋が上から下に順番に絞り込むように収縮していきます。収縮している心臓の細胞は「興奮」しているのですが、その電気的興奮を身体の表面で検出し、記録するのが心電図です。心臓の「興奮」は右心房にある洞房結節から発生する電気刺激(興奮)により開始します。言い換えれば、洞房結節が興奮のスタート地点であり、心拍(リズム)を司ります。この電気的興奮は、特殊な電気を流しやすい心筋細胞(刺激伝導系と呼ばれます)を上から下に伝わって、順番に心筋を興奮させることで、正常な収縮が起こります。「心筋の興奮の伝導」を野球のスタジアムのウェーブに例えると、観客が一つ一つの心筋細胞だとすると、応援団長の号令に合わせて、端から順番に観客がウェーブ(心筋でいう興奮と収縮)をするのに似ています。この興奮のスタート地点である洞房結節を英語で「サイナスノード」といいます。ドラマ『ドクターX』に登場する大門未知子の相棒、麻酔科医の城之内博美の決めセリフで「血圧いくつ、脈拍いくつ、サイナス」というものがありますが、「サイナス」とは心臓が正常なリズムで動いているという意味です。心電図には3つの山があります。最初の山が「P波」という小さな波形。次の山が「QRS派」という大きな波形。最後の山が「T波」という中ぐらいの波形です。この3つの山が正しいリズムで繰り返し現れます。P波は心房の興奮、QRS波は心室の興奮、T波は心室の興奮がおさまっていく時の波形を表しています。心房の興奮のおさまりを表す波は小さいので、QRSの大きな波に隠れて見えません。心電図からわかるのは「心拍リズム」と「心筋の状態」心電図からは様々な情報が得られますが、特に「心拍リズム」と「心筋の状態」の2つが重要です。心臓の拍動するタイミングがずれたり、正しい順番で心臓が興奮しないことを不整脈と呼びます。心電図では、P波とQRS波とT波の3つの山が欠けたり、波の形が変形をすることがあります。不整脈の種類によって様々な波型の異常が現れます。正常な心臓の興奮のスタート地点である洞房結節以外から最初の興奮が起こることもあります。また、3つの山が見えずに、波が小刻みしか見えない状態を心室細動といいます。心室細動では心臓のポンプの働きの大部分を担っている心室の心筋細胞が小刻みかつバラバラに震えて全身に血液が送れなくなるため、死に至ることがあります。その場合には、一刻も早い電気ショックでの治療が必要です心電図によって心臓の筋肉(心筋)の状態が悪くなっているかどうかもわかります。心臓の血管(冠状動脈)が細くなり、心筋への血流が悪くなると虚血(血液が足りない)状態になって、心筋が栄養不足、酸素不足になります。これを狭心症といいます。また、心臓の血管が血栓などで詰まると、心筋は壊死を起こすことがあります。これを心筋梗塞といいます。虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)は死につながる重い病気なので注意が必要です。心電図検査は、体への負担が少なく、値段も比較的安く、時間もかかりませんが、色々な情報がわかる便利な検査です。せっかく検査を受けたわけですから、ぜひ仕組みや役割を理解した上で活用してください。

梅村 将就

2021.1.14

大切な腎臓を守るために覚えておきたい「血液検査」2つのキーワード

腎臓は人の体を正常に保つために欠かせない臓器です。腎臓の異常をチェックするには、健康診断が欠かせません。健康診断では、主に尿検査と血液検査で腎臓に異常がないかどうかを調べます。ここでは、血液検査で知っておいたほうがいい2つのキーワード「Cr(クレアチニン)」と「BUN(尿素窒素)」についてご説明します。血液中の「溜まったゴミ」の有無で腎機能をチェック血液検査では、「Cr(クレアチニン)」と「BUN(尿素窒素)」を見ます。難しい言葉のように思われがちですが、いずれも体内の老廃物だと考えてください。Cr(クレアチニン)は、筋肉が動くときに使われるクレアチリン酸がエネルギーを消費した後に分解されてできたもので、血液中に排出された後は腎臓でろ過されて、すべて尿として体外に排出されます。BUN(尿素窒素)はタンパク質が体の中で分解されたときにできる物質です。BUNの値が高ければ、BUNが血中に多くとどまっているということになり、クレアチニンと同様に腎臓の機能が低下していることが疑われます。CrもBUNも血中の不要な物質、つまり「体に溜まったゴミ」です。本当はすべて捨てられていないといけない血中のゴミがどれぐらい溜まっているかで、腎臓の機能が十分に働いているかを見ているわけです。つまり値が高ければ高いほど、よくないということになります。血液検査でわかる「痛風」の予兆他にも、腎機能検査での血液検査でわかる数値としては、よく知られている「尿酸値」があります。尿酸値は尿検査ではなく、血液検査でわかるのです。細胞の中には核酸(DNAなど)がありますが、DNAの構成成分であるプリン体が分解されると最後は尿酸になります。尿酸はろ過されて尿として排出されますが、プリン体の大量摂取などによって尿酸を排出しきれなくなって尿酸値が上がると、主に手足の関節で結晶化して、炎症を起こし、結果として痛風になってしまうわけです。ビールにはプリン体が含まれており、そのため、尿酸値が高い人のためにプリン体がカットされたビールなどが売られています。お肉などにも多く含まれています。痛風はその名のとおり、とても痛くて日常生活にも支障が出ますので、この値にも注意してください。これまで挙げてきた5つのキーワード「尿蛋白」「尿糖」「尿潜血」「Cr(クレアチニン)」「BUN(尿素窒素)」を理解した上で、ぜひ健康診断を受けて腎臓の機能をチェックしてください

梅村 将就

2021.1.7

大切な腎臓を守るために覚えておきたい「尿検査」3つのキーワード

腎臓はなかなか症状が出にくい臓器であり、肝臓とともに「沈黙の臓器」とも言われます。そのため、腎臓の異常をチェックするには、健康診断が欠かせません。健康診断では、主に尿検査と血液検査で腎臓に異常がないかどうかを調べます。ここでは、尿検査で知っておいたほうがいい3つのキーワード「尿蛋白」「尿糖」「尿潜血」についてご説明します。尿検査でわかる腎臓の病気とは?まずは尿検査で出る「尿蛋白(たんぱく)」。これは本来なら腎臓でろ過されないはずのアルブミンというタンパク質が尿の中に混ざってしまっている状態です。本来ろ過されないタンパク質がろ過されてしまっているということは、腎臓で重要な役割を持つ「糸球体」のろ過機能に異常があることが疑われます(糸球体については前回のコラムを参照してください)。本来ろ過されないのものが、糸球体の網目をかいくぐって尿に混ざってしまっているからです。つまり、尿蛋白は糸球体の異常を見ているのです。糸球体に異常があれば、糸球体腎炎が疑われます。ただし、腎機能に明らかな異常がない場合でも、運動などにより尿蛋白が検出されてしまう場合があるので、尿検査で異常を指摘された際には精密検査で本当に異常なのかをしっかり調べることが重要です。次が「尿糖」です。ブドウ糖は粒子が小さいため、糸球体でろ過されてしまいますが、重要な物質なので尿細管で100%再吸収されます。せっかく摂取した栄養を捨ててしまってはもったいないですよね。しかし、血液中のブドウ糖の値である血糖値が通常の値の2倍を超えると、再吸収しなくてはならないブドウ糖が多すぎて、尿細管での再吸収が追いつかなくなります。そのため、再吸収しきれないブドウ糖が尿に出てしまうのです。尿糖が出ていれば、血液の中のブドウ糖が多い状態ということになり、つまり糖尿病が疑われます。「尿潜血」は尿に赤血球が混入している場合に陽性になります。これは腎臓だけでなく、尿管や膀胱、尿道からの出血でも起こることがあります。肉眼では尿への血液の混在がわからない場合を尿潜血、肉眼でも見える場合を肉眼的血尿と呼びます。尿潜血が見られる場合には、糸球体が炎症を起こしているなどの異常が疑われます。肉眼で血尿が認められる場合は、膀胱腫瘍(膀胱がん)、尿路結石などの可能性も考えなければいけません。なお、女性の場合は月経中に陽性になることがあるなど、明らかな異常がない場合でも尿潜血を認めることがあります。異常が見つかったら放置せず、精密検査で原因をしっかり調べましょう

梅村 将就

2020.12.24

大切な腎臓を守るために覚えておきたい健康診断の5つのキーワード

腎臓の病気が進行してしまうと、腎臓の機能が低下し、十分にその機能を果たせなくなってしまいます。その結果、場合によっては腎臓の機能を代替するために人工透析が必要になることがあります。そうならないためにも重要なのが健康診断です。健康診断では腎臓の機能のチェックもしっかり行います。ここでは、どのような検査のどのような項目を見れば、腎臓の機能がわかるのかを説明していきたいと思います。腎臓の働きは「ろ過」まずは、腎臓の働きを知りましょう。腎臓の働きを簡単に言うなら「ろ過」です。腎臓は1日に150リットルの血液をろ過して、体内で作られた老廃物や毒物を1日1.5リットルの尿として排出しています。腎臓の機能が低下してしまうと、体内に余分な水分、老廃物や毒素が蓄積してしまうことになります。ろ過は腎臓の中にある「糸球体」で行われます。細い血管が毛糸の球のように丸まってできているもので、ここで水や老廃物などがろ過されます。ろ過されないものは、赤血球やタンパク質(アルブミンなど)などです。ろ過されたものが尿として排出され、ろ過されなかったものは再び体に戻っていきます。ただし、ろ過されるかどうかは、それぞれの物質の大きさだけで決まります。アルブミンより大きな粒子のものはろ過されません。一方、重要なものでも粒子が小さいものは、ろ過されてしまいます。それらは、「尿細管」という場所で再吸収され、再び体に戻されます。ほかにも腎臓には、余計な水分を尿として排出することで体内の水分量を適切に調節する働き、ナトリウムやカリウムなどのミネラルや化合物のバランスを調整する働きや、血圧を調整する働きなどがあります。健康診断では、主に尿検査と血液検査の2つの検査で腎臓に異常がないかどうかを調べます。尿検査では「尿蛋白」「尿糖」、「尿潜血」、血液検査では「Cr(クレアチニン)」「BUN(尿素窒素)」を調べます。次回以降、それぞれどのような意味があるのかを解説するので、この5つの言葉の意味をぜひ理解してください。

梅村 将就

2020.12.17

【マンガで解説!胃がんとピロリ菌③】胃がん検診で特に大事な検査は何?

早期発見、早期治療するにはどんな検査が大事?胃がんを予防するには早期発見と早期治療が何より大切です。そのために胃がん検診は欠かせませんが、その中でも特にどんな検査が大事なのでしょうか? イシ先生に解説していただきました。イシ先生のひとこと厚生労働省の指針改定により、2016年から胃がん検診で胃部X線検査だけでなく胃内視鏡検査を選べるようになりました。対象者は50歳以上なので、ぜひ受けてみてください。まとめピロリ菌の検査も大切ですが、胃がんの早期発見には胃がん検診も欠かせません。胃がん検診は「胃部X線検査」と「胃内視鏡検査(胃カメラ)」の2つがありますが、特に大事なのは小さな病変も見つけることができる胃カメラです。胃カメラが苦手な人は鼻から入れる胃カメラ(経鼻内視鏡)をおすすめします。文:Open Doctors編集部作画:ぐっちぃ監修:横浜市立大学講師・医学博士 梅村将就

梅村 将就

2020.12.10

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