海外旅行から1カ月後、発熱と全身のだるさ
最終更新日:2019.10.9
マンガで読むA型肝炎の症例:鈴木雄介くん(仮名)10歳男児の場合
1カ月前、家族でマレーシアを旅行した雄介くん。幼なじみのななちゃんにおみやげを買ってきたものの、照れくさくて渡せていません。そのことをお姉ちゃんにからかわれ、「明日渡せばいいんだろ!」と奮起するものの、翌朝起きるとなんだか体がだるいし、食欲もない……。急性胃腸炎と診断され、自宅で様子を見ていましたが、お姉ちゃんに「雄介の白目が黄色い!」と言われてしまいます。心配したお母さんに連れられて、再度病院を受診することに。













まとめ:A型肝炎の検査・治療
- A型肝炎は、A型肝炎ウイルスに感染することによって起こる急性の肝炎である。
- ウイルスに感染すると、2~6週間の潜伏期間ののち、倦怠感・食欲不振・吐き気などの症状に加え、発熱・褐色尿(かっしょくにょう)・黄疸(おうだん)などの徴候(ちょうこう)があらわれる。
- 国内では海産物などの食品による感染が報告されているが、患者全体の約20~30%は海外渡航からの帰国者であり、ほとんどがフィリピンなどの東南アジア地域、インド、中国などで感染している。(*1)(*2)
- A型肝炎が疑われる場合は血液検査を行い、A型肝炎ウイルスの抗体の有無や肝臓の状態などを調べる。
- 水分や食事がとれておらず、肝細胞障害がある場合は、入院して治療を受けることになる。まれに劇症肝炎と呼ばれる状態に陥ることもあるため、慎重に経過観察をする必要がある。
- A型肝炎は一度感染すると強い免疫ができ、生涯にわたって再び感染することはないとされている。
- A型肝炎の感染リスクが高い地域へ旅行をする場合は、前もってワクチンによる予防接種を受けることが勧められる。
- 感染を避けるため、感染リスクが高い地域では生水や氷の入った飲み物、不衛生な環境で調理されたと思われる食事は避けること。
- 症状が消えても数週間はウイルスが排出され、ほかの人にうつしてしまう可能性があるため、手洗いなどの衛生管理をしっかり行う必要がある。
作画:よしはな
監修:国立病院機構三重病院 臨床研究部長/谷口清州
※症例は特定の個人の実症例にもとづいたものではなく、医師の経験から起こりうる症例を作成しています。また、本症例作成時点での情報であり、現時点での標準治療や医療機関で行われている最新治療とは異なる場合があります。