4カ月前から血便。次第に便が出にくく、残便感も
最終更新日:2019.5.28
患者プロフィール
63歳の女性。今までに大きな病気をしたことはない。受診までの経緯
4カ月ほど前から、便に少量の血が混じるようになった。消化のよさそうなものを食べるように心掛けていたが改善しない。次第に便が出にくくなり、出たあとも残便感が続くようになったので、近くの消化器内科クリニックを受診した。診察・検査
クリニックの医師に今までの経緯を話すと、「内視鏡で実際に腸の中を見てみましょう」と言われた。大腸カメラを受けることになり、その日は検査の予約をして帰宅した。当日は朝食を抜き、下剤を飲んで腸の中をきれいにしたあと、大腸カメラを受けた。すると右の結腸のあたりに腫瘍が見つかったため、組織を採取して生検を行うことになった。
1週間後生検の結果を聞きに行くと、やはり悪性だったということで、大学病院を紹介受診することになった。
診断・治療方針
大学病院では転移がないか調べるためにCT検査を行った。幸い、リンパ節を含むほかの臓器への転移は見られず、ステージIIの大腸がん(上行結腸がん)という診断であった。今回は抗がん剤治療の必要はなく、手術により根治が望めるということで、手術で上行結腸を含む右半分の大腸を切除することを勧められた。手術には腹腔鏡を用いて行う腹腔鏡手術と、腹部を開いて行う開腹手術がある。2つの手術方法のメリットとデメリットを聞いたうえで、「傷を少しでも小さくしたい」との思いから、腹腔鏡手術を希望した。
治療の経過
手術は無事終わり、術後2日間は点滴で栄養をとることになった。3日後にガスが出るようになり、腸の機能がだいぶ戻ってきたということで、おもゆから食事を始めることになった。
手術の6日後には普通のごはんを食べられるようになり、点滴も外すことができた。その後も順調に回復し、手術から10日後に退院することになった。
手術検体の病理検査の結果でもリンパ節転移は認められず、診断はやはりステージII。医師からは「通常、抗がん剤治療は必要ありません」と説明を受けた。
がんの再発がないかを調べるために、退院後5年間は定期的に検診を受け、CT検査などを行うことになった。
その後も特に不調を感じることはなく、病気になる前と変わらない生活を送ることができている。
※症例は特定の個人の実症例にもとづいたものではなく、医師の経験から起こりうる症例を作成しています。また、本症例作成時点での情報であり、現時点での標準治療や医療機関で行われている最新治療とは異なる場合があります。
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