毎晩ワインをグラス2杯。10年で体重は20kg増
最終更新日:2018.5.28
30代/女性
肝炎
患者プロフィール
33歳の女性。職場近くのマンションで一人暮らしをしている。仕事が忙しく、決まった時間に食事をとれない生活が続いており、外食が多い。ストレス発散も兼ねて、ワインを毎晩グラス2杯飲む生活を10年間続けている。23歳で働き始めたときは52kgだったが、10年で体重が20kg増え、72kgになってしまった。多忙のためジムに通うのも難しく、運動と言えば、通勤の際に歩くのみである。
受診までの経緯
会社の健康診断で3年前から肝機能異常だと言われていた。仕事が忙しく、体調も悪くなかったため、検査の結果はたまたまだろうと思い、病院には行かなかった。今回の健康診断で、これまでよりも数値が悪くなっていたため、さすがに心配になり受診することにした。
診察・検査
診察では腹部をみてもらった。肝臓や脾臓(ひぞう)が触れるほど大きくなってはいなかった。若い人の肝機能異常には、ウイルス感染や食生活の乱れ、免疫の異常などがあると説明され、血液検査と超音波検査を受けた。
血液検査の結果、ウイルス感染や免疫の異常はなさそうとのこと。超音波検査では、肝臓に脂肪がたまっていると言われた。
診断・治療方針
検査の結果から、脂肪肝だと言われた。脂肪肝の原因としては、お酒の飲み過ぎや肥満、糖尿病が多いそうだ。今回は、お酒と肥満が原因だろうと言われた。確定診断のために、肝生検を行う人もいるという話だった。腹部に針を刺して肝臓の一部を採取し詳しく調べる検査だが、必須ではないとのことで今回は見送った。治療については、原因を取り除くのが一番だということで、生活習慣を改善する方針となった。
まずは、毎晩飲んでいたワインを控え、運動する時間を増やして体重を減らすことが目標となった。3カ月後にもう一度血液検査と超音波検査を行い、改善していないようであれば、詳しく検査することになった。
治療の経過
その週から、ワインを飲む回数を減らした。全く飲まないのは難しいので、週に2回だけ飲める日を作って、その日以外は飲まないようにした。規則正しい食生活は難しいが食事内容は改善できると思い、なるべく油の少ないものに変更した。
運動しなければとは思ったが、平日は十分な時間をとるのが難しいため、休日には遠出することを心がけた。生活習慣の改善に取り組むようになってから、1カ月で3kgほど体重が落ちた。
体が少し軽くなったような気がする。周りの人から「痩せた」と言われることが多くなった。登山が趣味の同僚に、休日は景色を見るため日帰りで出掛けていると話すと、一緒に登らないかと誘われた。何度か行くうちに楽しくなり、毎週登山をするようになった。
3カ月後、再び受診した際には、体重が8kg減っていた。検査の結果も大きく改善しており、今後は病院に来る必要はないと医師から言われた。
最近は、平日の晩酌よりも休日の登山のほうが楽しみになり、以前の生活とは見違えるほど健康的な生活を送っている。もっと早く病院に来ておけばよかったと思った。
※症例は特定の個人の実症例にもとづいたものではなく、医師の経験から起こりうる症例を作成しています。また、本症例作成時点での情報であり、現時点での標準治療や医療機関で行われている最新治療とは異なる場合があります。