ハムスターがきっかけ 幼少期のアトピーも関係?
最終更新日:2018.5.28
患者プロフィール
32歳の女性。両親と3人で暮らしており、事務の仕事をしている。5歳のころ、アトピー性皮膚炎にかかり、皮膚科に通っていた。お酒はたまに飲む程度で、たばこは吸わない。5カ月前からハムスターを飼っている。受診までの経緯
2カ月前から鼻水がよく出るようになり、鼻のつまりも感じていた。1カ月前からは、咳(せき)も出るようになった。3週間前からは咳がしつこくなってきたので、近くの内科クリニックを受診した。胸の聴診をしてもらったが異常はなく、まずは症状を抑える薬で様子を見るように言われた。症状を抑える薬で多少改善がみられたものの、特に薬の効果が切れる夜間になると咳が出るのは変わらなかったので、再度クリニックを受診した。診察・検査
診察では、今までの経緯と症状について再度聞かれた。前回、ハムスターを飼い始めたことについて言っていなかったので、改めて医師に伝えたところ、飼う前と今とでどのように症状が違うか詳しく聞かれた。脈拍・体温・血圧に問題はなく、のどの赤みや腫れもないとのことだった。次に聴診をされたが、前回とは違い息を吐くときに「ヒューヒュー」と音が鳴っていると言われた。気管支喘息(ぜんそく)が疑われるということで、血液検査・胸部X線撮影をすることになった。血液検査の結果は当日には出ないということだったが、胸部X線では特に異常はなかった。診断・治療方針
確定診断のためには呼吸器の専門の病院で呼吸機能検査を行わなければならないが、症状と、聴診で特徴的な音が聞こえたこと、胸部X線では異常がないことから、気管支喘息が疑わしいと診断された。医師が言うには、「喘息は子どもがかかる病気だという印象があるが、さまざまなことをきっかけにして大人にも起こります。例えば今回のようにペットをきっかけにしたもの、ほかにもハウスダスト・たばこ・風邪・ストレスによっても起こりうる。また、深夜から明け方にかけて症状が出るのも特徴です。」とのことだった。
まずは吸入の薬を始めてみて、効果があるかを確認することが診断の助けにもなるとのことだったので、ステロイドの吸入薬を始めた。
治療の経過
医師からは、「もし苦しくなってきたら次の受診日を待たずにすぐに受診するように」と言われたが、吸入薬を始めてからは徐々に咳が落ち着いてきたため、予定通り1週間後に受診した。血液検査の結果、白血球の一種である好酸球が増えており、また吸入で症状が落ち着いていることからも、気管支喘息の診断でほぼ間違いないとのこと。医師によると、幼いときにアトピーにかかった経験があるということは、アレルギーになりやすい体質であり、喘息にもなりやすいということであった。「症状は落ち着いていますが、しばらくはこのまま吸入薬を毎日定期的に吸入することが大事です」と言われたので、今後は吸入薬で症状をコントロールし、この病気と付き合っていこうと思う。
※症例は特定の個人の実症例にもとづいたものではなく、医師の経験から起こりうる症例を作成しています。また、本症例作成時点での情報であり、現時点での標準治療や医療機関で行われている最新治療とは異なる場合があります。
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