乳房を残したい。直径2cmの腫瘍1つを部分切除
最終更新日:2018.6.14
患者プロフィール
50歳の女性。自覚症状などは特になし。受診までの経緯
人間ドックでマンモグラフィーを受けたところ、異常を指摘された。詳しい検査を受けたほうがよいということで、紹介された大学病院を受診した。
診察・検査
触診ではどちらの乳房にもしこりなどはなく、また両腋(りょうわき)のリンパ節も腫れていなかった。
持参したマンモグラフィーの写真を見せたところ、細かな砂粒状や線状の濃い影があり、乳がんが疑われるとのこと。診断を確定させるために、乳房に針を刺して乳房の組織の一部をとってくる検査(生検)を受けることになった。
診断・治療方針
生検の結果、乳がんとの診断。ショックを受け、動揺したが、これからの治療方針を考えるために、さらなる検査を受けることにした。まずCT検査によって、腫瘍がいくつあるのか、正確な位置はどこか、どこまで広がっているのかなどを調べた。
早期に発見されたこともあり、幸い腫瘍は1つだけで、直径2cmほどとまだ小さいことが判明。
検査結果から、乳房を温存する手術ができるとのこと。乳房を残したいという思いがあったため、乳房部分切除術という手術を受けることにした。
治療の経過
手術は3時間ほどで終了した。術中に行われた病理検査では、腫瘍はとりきれているとのことだった。がんに最も近いリンパ節の一部をとってきて調べたが、転移は見られなかった。
手術後の合併症もなく、予定通り5日ほどで退院となった。
切除する範囲がそこまで広くなかったため、乳房の見た目も保つことができた。
手術のあとも3カ月ごとに定期的に通院して触診や問診を受けるようにしている。
マンモグラフィーなどの画像検査も1年に1回程度行っている。もっと頻繁に検査をしたほうがよいのではないかと思ったが、乳がんでは頻繁に検査を行ったとしても生存率は改善しないのだという。
医師によると、もし再発した場合は治癒させることがほぼ困難なため、早期に再発を発見することが予後の延長にはつながらないということだった。
※症例は特定の個人の実症例にもとづいたものではなく、医師の経験から起こりうる症例を作成しています。また、本症例作成時点での情報であり、現時点での標準治療や医療機関で行われている最新治療とは異なる場合があります。
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