なぜか1カ月で3kg減。糖尿病の引き金は風邪?
最終更新日:2018.11.6
患者プロフィール
28歳の女性。半年前に受けた健康診断の結果には「異常なし」と記載されており、気になる症状もなかった。最近変わったことと言えば、1カ月で体重が3kg減ったこと。ダイエットをしていたわけでもないのに急に痩せたので、不思議に思っていた。
受診までの経緯
数日前に風邪をひき、おなかを壊してしまった。腹痛に加え、喉(のど)が渇く感じもある。何を食べても吐いてしまうため、病院を受診した。
診察・検査
医師は原因を探るように全身を診察。舌が乾燥していると言われた。糖尿病の疑いがあるということで、血液検査と尿検査を行うことになった。
検査の結果、血糖値は450mg/dLと非常に高くなっていることがわかった。
一方、直近1カ月間の血糖値を反映するHbA1cは5.9%と正常値であった。尿検査の結果では、尿糖とケトン体という検査項目が陽性になっていた。
診断・治療方針
さらに詳しい検査を行い、急激に発症した1型糖尿病と診断された。もともと遺伝的に糖尿病になりやすい体質であったが、今回のかぜが糖尿病発症の引き金を引いてしまったようだ。
風邪をきっかけに免疫機能が活発になりすぎて、誤って自分の膵臓(すいぞう)の細胞を攻撃し、膵臓がインスリン(血糖値を下げるホルモン)を作れなくなったために、糖尿病を発症したのではないかということだった。
血糖値をコントロールするため、足りないインスリンを毎日注射で補う「インスリン療法」を開始することになった。
治療の経過
毎日自分の体に注射をしなければならないことに、当初は大きなショックとためらいを感じた。しかし、看護師から注射の指導を受けるうちに、さまざまな境遇のなかで糖尿病を治療している患者がいることを知り、徐々に病気や治療を受け入れることができるようになっていった。
今は、食事や運動など健康にも気をつかうようになり、1日4回のインスリン自己注射を行いながら元気に過ごしている。
※症例は特定の個人の実症例にもとづいたものではなく、医師の経験から起こりうる症例を作成しています。また、本症例作成時点での情報であり、現時点での標準治療や医療機関で行われている最新治療とは異なる場合があります。
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