頭部に突然「石臼で押しつぶされる」ような痛み
最終更新日:2018.5.28
患者プロフィール
69歳の男性。4年前に定年を迎え、現在は妻と息子夫婦の4人で暮らしている。趣味は将棋で、地元の子どもを相手に将棋教室を開いている。
5年前にかかりつけの医院で「血圧が高い」と言われ、血圧を下げる薬を飲んでいる。今まで大きな病気にかかったことはない。
受診までの経緯
夕食中、箸でおかずをつまんで持ち上げようとしたところ、突然頭の後ろの部分を石臼で押しつぶされるような痛みに襲われた。また、急に気持ち悪くなり、吐き気も覚えた。突然のできごとで、普段かかっている医院はすでに閉まっていたので、夜間救急を行っている病院に問い合わせ、妻と息子に連れられて来院した。
診察・検査
来院後は繰り返し嘔吐(おうと)。目は開いているが、呼びかけに対する返事は曖昧でぼんやりしている。辛うじて、自分の名前を言うことはできる。医師の指示に従って、辛うじて両手、両足ともに動かすことができる状態であった。
頭部CT(コンピューター断層撮影装置)検査を行ったところ、脳の中でも「小脳」という場所に、出血していると考えられる箇所を確認できた。
診断・治療方針
小脳出血(小脳から出血している状態)との診断。頭部CT検査の結果から、出血の量が多いと考えられたため、開頭血腫除去術(頭の骨に穴を開けて出血して固まった血の塊を取り出し、頭の中の圧を下げる手術)を行った。
治療の経過
手術は無事成功、一命をとりとめた。1カ月間ほど入院し、手術直後からリハビリを開始。
歩く練習やスプーン・箸で食事をする練習を行った。ふらつくような感覚は残ったものの、歩くことや将棋を指すことができるまでに回復した。
医師からは、血圧の値を正常に近づけ、再発を予防するため、引き続き降圧剤を服用するよう言われている。朝晩家でも血圧を測り、140/90mmHgを超えないようにチェックしている。以前は薬を飲むのを忘れてしまうこともしょっちゅうだったが、発症時の頭痛がひどかったため、二度と同じ病気になりたくないと思い、毎日忘れず服用するようにしている。
※症例は特定の個人の実症例にもとづいたものではなく、医師の経験から起こりうる症例を作成しています。また、本症例作成時点での情報であり、現時点での標準治療や医療機関で行われている最新治療とは異なる場合があります。