気管支喘息の治療中にアスピリンを飲んだら……
最終更新日:2018.5.28
30代/女性
喘息
患者プロフィール
32歳女性。両親と3人で暮らしている。仕事は事務で、お酒はたまに飲む程度でたばこは吸わない。8カ月前からハムスターを飼っている。そのころから咳(せき)が止まらず、近くのクリニックを受診したところ「気管支喘息(ぜんそく)」と診断され、ステロイドを吸入して治療している。受診までの経緯
半年ほど前から、歯に冷たいものがしみることが多くなってきた。歯医者に行かなくては、と思いつつも面倒で、なかなか行くことができないでいた。そのうち、歯の痛みは耐えがたいほどになってきた。かなりの痛みであったため、今日は家にあった市販の痛み止めを飲んだ。
ところが、薬を飲んで30分ほどすると、今度は息がしにくくなってきた。だんだん苦しくなってきたため、親に病院まで送ってもらい受診した。
診察・検査
聴診では、「以前の、気管支喘息のときと同じような音ですね」と言われた。最初は現在治療している気管支喘息が悪くなったのだと思った。しかし医師からは「おそらく、これはアスピリンによるものでしょう」と言われた。その後、指で酸素化の指標であるサチュレーション(SpO2)を測ってもらったが、正常な人では95%以上あるものが90%しかなかった。すぐに治療が必要な状態と言われた。診断・治療方針
医師からは「アスピリン喘息」と診断された。アスピリン喘息では、気管支喘息がある場合に、アスピリンなどの解熱鎮痛剤によって、強い喘息発作が誘発されてしまうとのことだった。酸素化の指標(SpO2)が落ちてしまっているので、すぐに吸入の治療が必要と言われ、β2刺激薬と呼ばれる種類の薬を30分おきに計3回吸入した。その結果息のしにくさは改善したものの、聴診をしてもらうとまだ喘息の音が残っており、また酸素化の指標であるSpO2も改善していなかった。
まだ治療が十分ではないので、点滴で全身にステロイドを投与する治療を追加で行った方がよいと言われた。以前の気管支喘息の際には行ったことのない治療だったので不安だったが、喘息の発作が強いときによく行う治療だと説明を受け、点滴をしてもらうことにした。点滴が終わると、喘息の音も消えており、SpO2も95%まで改善していたので帰宅することができた。
治療の経過
気管支喘息の治療としてステロイド吸入を行っていたが、今回発作が強く出てしまったので、ステロイドに加えβ2刺激薬も配合してある吸入薬に変更することになった。また、治療後の経過を見るために、1週間後に病院を再度受診することになった。また喘息の音が聞こえるなど発作の危険があるときには、ステロイドの飲み薬も追加になるかもしれないと言われていたが、幸いにも症状は改善しており、追加治療は行わなくてよいことになった。今も定期的に病院に通い、吸入の薬を続けている。今回、痛み止めの薬を飲んだことがきっかけで発作が起こってしまったので、今後は、市販の薬を飲む場合には、飲んでもいいかどうかを必ず医師や薬局の薬剤師に確認し、相談して飲むようにしようと思った。
※症例は特定の個人の実症例にもとづいたものではなく、医師の経験から起こりうる症例を作成しています。また、本症例作成時点での情報であり、現時点での標準治療や医療機関で行われている最新治療とは異なる場合があります。