バイク事故で脳出血。開頭手術を行うも植物状態に
最終更新日:2018.5.28
患者プロフィール
19歳の男性。進学を機に地元を離れ、都心で一人暮らしをしている。これまでに大きな病気を患ったことはなく、生来健康である。友人とバイクでツーリングをするのが趣味。
受診までの経緯
大雨の翌日、友人とツーリングに出掛けた。路面が濡れていて心配だったが、宿をキャンセルするのももったいないと思い、決行した。しかし案の定、走行中にバイクがスリップ、立木に激突してしまった。
友人が慌てて駆け寄ると、最初は「やっちまった、痛い」と笑うようなしぐさを見せていたが、立ち上がれない様子だったので、念のため救急車を要請した。
救急車を待っている間にどんどん口数が減り、自力で動けなくなった。
救急車が到着し搬送される際には、呼びかけや痛みの刺激にも反応しないような昏睡(こんすい)状態となった。
診察・検査
搬送先の病院に到着する頃には、息の吸い方や吐き方が一定でなく、時折息を吸わなくなることもあった。明らかな骨折や傷口は見られなかったが、やはり意識は戻らない。両方のまぶたを開いて確認したところ、黒目の大きさが左右で異なっていた。
頭部CT(コンピューター断層撮影装置)検査を行ったところ、頭蓋骨と脳の間に血腫を認め、右脳の前方と側方に、むくみの所見と点状の出血が確認できた。
診断・治療方針
診断は脳挫傷による脳出血ならびに急性硬膜下血腫。頭部CT検査では、脳の中に血腫ができ、脳がむくんで変形していたため、開頭血腫除去術(頭の骨に穴をあけ、血の塊を取り出し頭の中の圧を下げる手術)を行うことになった。
治療の経過
手術により一命は取り留めることができた。人工呼吸器なしで息をすることができるが、意識は戻らず、いわゆる植物状態となってしまった。※症例は特定の個人の実症例にもとづいたものではなく、医師の経験から起こりうる症例を作成しています。また、本症例作成時点での情報であり、現時点での標準治療や医療機関で行われている最新治療とは異なる場合があります。
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