便潜血検査で陽性。内視鏡検査を受けると腫瘍が
最終更新日:2018.6.14
60代/男性
大腸がん
患者プロフィール
60歳男性。家族と3人暮らし。料理店を営んでおり、食べることがとても好きである。特に天ぷらやから揚げなど、脂っこいものを好んで食べている。
10年前の胃がん検診で胃潰瘍の瘢痕(はんこん)があったことを指摘されている。
受診までの経緯
妻に勧められて行った大腸がん検診で、便に血が混じっているか調べる検査を受けたところ2回の検査のうち1回は陽性で、1回は陰性であった。自覚症状はないものの、一度専門の医師に診てもらった方がいいと言われたため受診した。
診察・検査
医師によると、貧血の症状などもなく特に異常はなさそうだが、「念のため、下部消化管内視鏡(大腸カメラ)検査をしておきましょう」とのこと。と言うのも、便潜血反応は大腸がんかどうか調べる際に用いる信用性のある検査であるが、1回の検査で陽性になるのは進行大腸がんでも7割程度で、2回行うとようやく8割を超える。
2回のうち1回でも陽性であれば、さらに詳しく検査を行う必要があるのだと言う。
「念には念を」と言うことで大腸内視鏡検査を行ったところ、下行結腸に3cmほどの腫瘍が見つかった。その組織の一部を採取して、病理検査を行うことになった。
胸や腹部のCT(コンピューター断層撮影装置)検査で、異常は見つからなかった。
診断・治療方針
診断は下行結腸がんが強く疑われるということであった。転移もなく、大きさも3cmと小さいため、おしりから内視鏡を入れ、がんを粘膜ごと切除するESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)という手術を受けることとなった。病理検査の結果、進行度分類でステージ0。これはがんが大腸の粘膜内にとどまっているものであり、追加の治療も不要であった。
治療の経過
10日間ほどの入院となったが、痛みもまったくなく、手術後も元気に入院生活を送った。大腸がんは、脂肪の多い食事ばっかりしていると発生する確率が高くなると教わったので、今後は食事にも気をつけて生活していこうと思っている。
※症例は特定の個人の実症例にもとづいたものではなく、医師の経験から起こりうる症例を作成しています。また、本症例作成時点での情報であり、現時点での標準治療や医療機関で行われている最新治療とは異なる場合があります。