4日前から続く熱と咳。やめられぬタバコも関係?
最終更新日:2018.5.28
患者プロフィール
64歳の男性。妻と2人暮らし。息子夫婦が遠くに住んでいるため、心配はかけまいと健康に気を使って生活しているが、どうしてもタバコがやめられない。息子の勧めもあって、禁煙外来に通っている。
受診までの経緯
4日前から熱と咳(せき)があり、なんとなくだるいと思っていたら、痰(たん)も絡みだした。風邪をひいたかなと思い、近所の薬局で風邪薬を買って飲んだのだが、2日たっても症状がよくならないため、病院を受診した。
診察・検査
医師による聴診の結果、肺に異常な音がするということで、胸のX線検査を行うことになった。また、細菌によって肺に炎症が起こっているかもしれないということで、痰を採取して、菌(きん)を調べると言われた。
代表的な菌については尿の迅速検査で分かることもあるので、尿も提出するよう言われた。
タバコがやめられないことと、今回の発熱や咳に関係はあるのかと聞いてみたところ、「タバコを吸うことによって、気道に常に炎症が起こっているような状態になってしまうので、外からの刺激が加わると症状が悪化しやすくなることはあるかもしれない」と言われた。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)や肺がんなど今後の病気のリスクも高くなるため、やはりタバコは「百害あって一利なし」とのこと。
診断・治療方針
医師によると、グラム染色の結果はすぐに出るので、ある程度は原因菌を絞り込むことができるが、原因菌がすぐに分からない場合もある。その場合、状態が悪くなるのを防ぐために、いろいろな菌に対して効く薬から使い始めるそうだ。今回は、尿検査の結果で肺炎球菌が陽性となり、原因菌が分かったため、肺炎球菌に対してよく効くペニシリン系の抗菌薬を使うことになった。
「もしかして別の菌がいるかもしれないなら、いろいろな菌に対して効く薬を使ったほうがよいのではないか」と医師に聞いてみたが、そうすると菌が不必要に耐性を持ってしまい、いざというときに薬が効かなくなることもあると説明があった。
治療の経過
処方された抗菌薬を飲み始めて1週間、熱や咳などの症状はなくなった。再度来院してX線検査を行ったが、白い「もや」はほとんどなくなっており、肺炎の治療は終了となった。
タバコは気道を常に炎症が起こっているような状態にしてしまい、外的な刺激により症状が悪化しやすくなるかもしれないということだったので、引き続き、禁煙外来での治療は続けていこうと思っている。
※症例は特定の個人の実症例にもとづいたものではなく、医師の経験から起こりうる症例を作成しています。また、本症例作成時点での情報であり、現時点での標準治療や医療機関で行われている最新治療とは異なる場合があります。
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