寝ても覚めても指が痛い! 座薬の鎮痛剤で対処
最終更新日:2018.10.18
患者プロフィール
48歳の男性。会社近くのマンションに1人で暮らしている。普段から仕事が忙しく、運動はあまりしていない。
会社の健康診断で高尿酸血症を指摘されていたが、病院には行っていなかった。
受診までの経緯
一昨日は21時頃に退社し、同僚と飲んで帰った。昨日の朝、目を覚ますと右の親指がズキズキと痛い。床に足をつくのもやっとというほどのひどい痛みだったが、どうしても片付けなければならない仕事があり、休むわけにはいかなかった。いつもは徒歩通勤だが今日は歩けそうになく、タクシーで会社へ向かった。
同僚に「朝から足の親指が痛くてさ……」と相談すると、「前々から尿酸値が高いと言っていたよな。多分痛風だから、早く医者に行ったほうがいいよ」と言われてしまった。
そして今日、あまりの痛みによく眠れないまま、半休をとって病院を受診した。
診察・検査
足の親指は赤く腫れており、安静時にも強い痛みがある。「高尿酸血症と言われている」と話すと、やはり痛風発作が疑われるとのことで、エックス線(レントゲン)撮影と採血検査を行うことになった。
レントゲン画像では、明らかな骨の異常は確認できない。
しかし血液検査の結果を見てみると、やはり尿酸値が7.8 mg/dL(基準値は7.0mg/dL)と高く、炎症反応を示すCRPという値も2.32mg/dL(基準値は0.3 mg/dL以下)と高くなっていた。
診断・治療方針
検査の結果から、痛風発作と診断された。とにかく足が痛い。静かにしていても痛みが強く、昨晩はほとんど眠れなかった。
「この痛みをなんとかしてください」と医師にお願いすると、尿酸値を下げる薬をすぐに飲むとかえって痛みが強くなることがあるとのことで、まずは鎮痛剤で痛みを和らげる方針となった。
「鎮痛剤は飲み薬のタイプですが、強力な鎮痛効果を期待するなら座薬も出せますよ」とのこと。
とにかく痛みをなんとかしたいので、座薬も処方してもらうことにした。
治療の経過
薬を処方され、まずは座薬を使った。30分ほどで痛みが少し和らいだ感じがあったのだが、3時間ほどで痛みが再燃してきた。薬剤師に「座薬を使う場合は6~8時間は間隔を開けて使用してくださいね」と言われたのを思い出し鎮痛剤を飲んだが、座薬ほどの効果はないようだった。6時間経過した時点で、耐えきれず座薬を追加。なんとか痛みを耐えられる感じがしてきた。
4日後には痛みもずいぶん和らいでいたが、仕事の都合をつけて外来を受診した。
血液検査を行ったところ、尿酸値は依然として8.8 mg/dLと高い値を示していた。一方、炎症反応を示すCRPは0.41 mg/dLと、異常値ではあるが改善しつつあった。医師からも「発作が落ち着いてきたので、尿酸値を下げる薬を処方します」と言われた。
処方される薬には、尿酸の生成を抑え、体内と尿中の尿酸値を下げる効果があると説明を受けた。
まずは飲み薬による治療で尿酸値を下げ、加えて尿酸のもととなるプリン体を多く含む食事を控える食事療法を行うことで、今後尿酸値を上げないようにしていくとのこと。
二度とあんな思いはしたくない。夜も眠れないほどの痛みを思い返し、二度と発作が起こらないようしっかりと管理していこうと決意した。
2カ月後。1日1回の薬はしっかりと飲んでおり、足の痛みはすっかりよくなっている。
血液検査の結果は尿酸値6.4 mg/dL、炎症反応を示すCRPが0.08 mg/dLと、いずれも正常範囲内であった。
しかし、「薬による治療を行っているにもかかわらずこの値となると、薬は継続しなくてはならない」と言われてしまった。
「この薬は一生飲み続けなくてはいけないのでしょうか?」と聞いてみると、食事に気をつけることで改善できるという。
とはいえ仕事は相変わらず多忙で、外食ばかりの生活はなかなか変えられそうにない。
痛風治療のガイドブックなどを読んで努力はしているつもりなのだが、プリン体を完全に避けて食事をするのは難しそうだった。
医師にその話をすると、「積極的に食事療法に取り組んでくださっているようですし、そのうちご自分でうまくコントロールできるようになると思います。今は薬の力を借りて、焦らず治療を続けていきましょう」と言われ、しばらくは飲み薬による治療を継続することになった。
※症例は特定の個人の実症例にもとづいたものではなく、医師の経験から起こりうる症例を作成しています。また、本症例作成時点での情報であり、現時点での標準治療や医療機関で行われている最新治療とは異なる場合があります。
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