ステージIAの肺腺がん。飲み薬の抗がん剤を開始
最終更新日:2018.5.28
患者プロフィール
65歳の男性。今まで大きな病気をしたことはなく、自覚症状もなかった。タバコが好きで、20歳からの45年間、1日あたり約30本を吸い続けていた。受診までの経緯
健康診断で胸部X線撮影検査を受けたところ、左胸に影が見つかった。詳しく検査したほうがいいということで紹介状をもらい、総合病院を受診した。診察・検査
呼吸音には異常なし。気管に内視鏡を入れる検査を行い、肺の組織の一部を採取する検査(生検)とCT検査を受けた。診断・治療方針
検査の結果、肺がん(ステージIA)との診断。中でも肺腺がんというタイプで、まだ他の臓器への転移もなく、手術をすれば取りきれると説明を受けた。もしも呼吸する力に障害がある場合、肺の一部を取り除くと呼吸が十分にできなくなってしまうおそれがあり手術を受けられないのだが、呼吸機能検査では問題がなかったため、手術により病巣を摘出することになった。
受けるのは胸腔鏡手術という手術で、胸に小さな穴をあけ、そこから内視鏡や細い器具を入れるため、従来の開胸手術よりも負担が少ないそうだ。胸の横に小さな傷が残るが、1週間もあれば退院できると説明を受けた。
治療の経過
手術時間は4時間程度で無事終了。全身麻酔から覚めた後は少し気持ちが悪くなったが、吐くほどではなかった。時間がたつにつれ痛みがつらくなり、処方されていた痛み止めを飲んでも治まらず、点滴でより強い痛み止めを入れてもらった。その後は、術後の合併症などもなく、1週間ほどで退院となった。病理検査の結果から、今回の手術で病変部位を取りきることができており、周りのリンパ節への転移もなかったとのことだった。しかし、病巣のサイズがある程度大きく、2cm以上はあることから、再発予防として内服の抗がん剤を飲んだほうがよいとのことであった。抗がん剤と聞き動揺したが、飲み薬のため入院の必要もないそうなので、服薬を始めることにした。食欲不振や下痢などの症状が出ることもあると言われていたが、幸いなことに副作用は起こらず、予定されていた2年間の内服期間が過ぎ、治療終了となった。
治療後は2カ月おき、3カ月おきと徐々に間隔をあけながら、最終的には半年ごとに外来を受診。再発していないかの検査を行っており、1年に1回はCT検査も行っている。長年やめられなかったタバコだが、がんという大病を機に禁煙を始めた。食事面や運動面にも気を使うようになり、健康な毎日を過ごしている。
※症例は特定の個人の実症例にもとづいたものではなく、医師の経験から起こりうる症例を作成しています。また、本症例作成時点での情報であり、現時点での標準治療や医療機関で行われている最新治療とは異なる場合があります。
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