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28件の病気解説と189件の症例情報

症例を見る

ステージIVb。化学放射線療法後は食事も可能に

年齢/性別60代/男性

病名食道がん

半年ほど前から、みぞおちよりこぶし一つ上の、あばら骨の奥あたりに不快感があった。また、1カ月前のある日、家族で焼き肉を食べに行ったとき、喉(のど)の奥に肉片がつかえて上手く飲み込めなかった。

ステージII。再び口から食事をとることはできるか

年齢/性別60代/男性

病名食道がん

1カ月前に友人と食事に行った際、肉のかたまりが喉(のど)につかえ、苦しさを感じた。 そのときは水で流し込んだが、それ以来、食べ物がしばしば喉につかえるようになった。

早期発見、ステージは0。内視鏡を使って切除

年齢/性別60代/男性

病名食道がん

友人が先月人間ドックを受けたところ、早期胃がんが見つかったという。自分は今まで大きな病気をしたことがないがその友人も同様で、何の前触れもなくがんが見つかったらしい。しばらくがん検診を受けていなかったことを思い出し、自分も思い切って人間ドックを受けてみることにした。

急な腹痛と冷や汗。腹部大動脈瘤が破裂していた

年齢/性別60代/男性

病名大動脈瘤 動脈硬化

朝食後に畑の様子を見に行こうとしたところ、急な腹痛に襲われ動けなくなってしまった。 しばらく横になって様子を見ていたが、腹痛は良くならず、冷や汗も出てきたため、妻が119番通報。数分で救急車が到着し、近隣の総合病院に搬送された。

半年で大動脈瘤が拡大。ステントグラフトを挿入

年齢/性別70代/男性

病名大動脈瘤 糖尿病 慢性閉塞性肺疾患

慢性閉塞性肺疾患の経過観察のため、かかりつけのクリニックを受診。胸部X線撮影を受けると、胸部から腹部に向かって走る下行大動脈の一部が紡錘形に膨らんでいることが判明した。

健康診断で大動脈瘤を発見。手術はせず経過観察中

年齢/性別50代/男性

病名大動脈瘤

過去に大きな病気やけがの経験はなかったが、年に1回行われている職場の健康診断で胸部X線検査を受けると、大動脈弓(だいどうみゃくきゅう)と呼ばれる部分に膨らみが見つかった。

生活習慣病を放置。背中の激痛のあと両足に痺れ

年齢/性別50代/男性

病名大動脈解離 脂質異常症 糖尿病 高血圧

午前7時ごろ、突然背中に激痛が走り、痛みは腰の方へ移動していった。同時に両足が痺れるようになってきた。痛みがあまりにも激しいため、会社を休む連絡をしたが、その後、身動きが取れなくなっているところを家族に発見され、救急車を要請することになった。

冠動脈も解離し命の危機。13時間に及ぶ緊急手術

年齢/性別40代/男性

病名大動脈解離 高血圧

朝6時、会社に行く準備をしていると、突然背中を引き裂かれるような激しい痛みを覚えた。「突然こんなに痛くなるなんておかしい。胸も苦しいということは、心臓の病気かもしれない」と恐ろしくなり、家族の運転する車で近くの救急病院を受診した。

運転中、胸から背中に激痛。手術は回避も絶対安静

年齢/性別60代/男性

病名大動脈解離

会社から家に帰る車中で、突然胸から背中にかけて引き裂かれるような激しい痛みを感じ、急いで道路脇に車を止めた。ほどなくして救急隊が到着し、近くの病院に搬送されることになった。

背中に激痛。緊急手術で上行大動脈を人工血管に

年齢/性別50代/男性

病名大動脈解離

いつも通りオフィスで仕事をしていると、突然、今まで感じたことのない、引き裂かれるような強烈な背中の痛みを感じた。また左半身に力が入らず、痛みなどもあって椅子から転げ落ちたまま立ち上がれなくなった。同僚がすぐに救急車を呼び、発症からおよそ30分後、近くの総合病院に運ばれた。

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新型肺炎の症状、今すぐできる対策は? 感染症専門医が解説(最終更新:1月31日)

本記事の最終更新日は1月31日です1月31日、新型コロナウイルスについてWHO=世界保健機関は「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言。中国では患者数が9000人を超え、死者は213人となりました。ここでは新型肺炎に関する現時点での情報と、今からでもすぐにできる対策についてまとめています。新型肺炎になるとどんな症状が出るの?中国からの報告によると、新型コロナウイルスに感染・発症した患者には以下のような症状がみられるとのことです。・発熱・全身倦怠感・乾いた咳(せき)・入院患者では呼吸困難も多い・その他、筋肉痛、関節痛、頭痛、下痢なども報告されているこれらの症状は、いわゆる風邪やインフルエンザウイルスなどに感染した時にもみられるものです。のどや鼻のあたりの炎症(上気道炎)だけでは済まず、肺にまで炎症が広がる(肺炎)と、咳や呼吸困難などの症状が全面にでて、時に血痰がでることもあります。今すぐできる対策は?現在、新型コロナウイルスが国内で感染伝播することを防止するのにもっとも重要なのは、下記の2点になります。・武漢市への渡航歴があって、上記に挙げたような症状がある人は、マスクをしたり、咳やくしゃみをティッシュでおさえたりするなどの「咳エチケット」を守ること。・武漢市への渡航歴があって、上記に挙げたような症状がある人は、公共交通機関を使用せずに、医療機関を受診して、きちんと渡航歴を伝えること。武漢市への渡航歴がない人、武漢市への渡航歴があっても発熱と気道症状がない人は、風邪・インフルエンザが流行する季節でもありますから、以下のような通常の感染症対策を続けることが大切です。・手洗い・「咳エチケット」を守る・マスクを着用する・むやみに人ごみに出かけない「咳エチケット」と「正しい手洗い」とは?咳やくしゃみの飛沫(ひまつ)による感染を防ぐため、個人が咳・くしゃみをする際に、マスクやティッシュ・ハンカチ、服のそでを使って口や鼻をおさえることです。発熱などの自覚症状がなくても、電車や職場、学校など人が集まる場所では必ず実践してください。■3つの正しい「咳エチケット」・マスクを着用する(マスクは鼻からあごまで隙間がないように覆いましょう)・ティッシュ・ハンカチなどで口や鼻を覆う(使ったティッシュはすぐに捨てましょう)・上着の内側やそでで覆う悪い事例としては、・せきやくしゃみを手でおさえる(その手でさわったドアノブや電車のつり革などにウイルスが付着し、他人に病気を移す可能性があります)・せきやくしゃみをするとき何もしない(病原体を含む飛沫が飛んで他人に病気を移すことがあります)■正しい手洗いの仕方・流水で手を洗います。・石けんなどを使って指から手の甲、手首まで洗います(30秒間は洗いましょう)。・2回洗うとより効果的です。・十分に流水で洗い流して清潔なタオルやペーパータオルなどで拭き取ります。流水で手洗いできない場合は、アルコールが含まれた速乾性の手指消毒剤で代用できます。感染の対策としては、インフルエンザに対する対策と同様で、基本的に手洗いと「咳エチケット」を守ることだと思います。新型コロナウイルス感染症の疑いがあるときは?武漢に滞在歴があり、日本に入国後2週間以内に発熱や気道症状が出た場合、新型コロナウイルス感染症の疑いがあります。厚生労働省は、住んでいる地域の保健所に連絡をした上で、すみやかに医療機関を受診するよう呼びかけています。その際、武漢に滞在していたことを申告してください。また、不要な外出を避け、「咳エチケット」を守るようにしてください。現在までのところ、無症候性(症状がない)感染例や軽症例の感染性についてはよくわかっておりませんので、武漢に渡航歴のある人と接触したあと、発熱や気道症状が出た場合も、上記同様にすみやかに医療機関を受診してください。新型コロナウイルス感染症が重症化すると肺炎になります。65歳以上の高齢者、あるいは心臓や肝臓に病気を持つ人、糖尿病患者などは命にかかわることがあります。しかし、まだ肺炎の発症や死亡のリスクについてはまだわかっていないことも多くあります。ニュースなどで今後の状況の変化に注意してください。新型コロナウイルスに関するコールセンター編集部追記(1月29日):1月28日、厚生労働省が新型コロナウイルスに関するコールセンターを設置しました。・厚生労働省の電話相談窓口: 03-3595-2285・受付時間:9時00分~21時00分(週末や祝日を含め、毎日午前9時~午後9時まで対応)【解説】コロナウイルスとは?コロナウイルスの中でも、これまでにヒトに感染すると判明しているものは、本来はほとんどがいわゆる「風邪症候群」を起こすウイルスです。ヒトに日常的に感染する4種類のコロナウイルス(Human Coronavirus:HCoV)は、HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1で、風邪症候群の10~15%(流行期は35%)はこれら4種のコロナウイルスを原因とします。過去に深刻な流行を起こしたSARSとMERSは、動物のコロナウイルスが人間世界に入ってきたものです。参考サイト・新型コロナウイルスに関するQ&A - 厚生労働省・新型コロナウイルス(2019-nCoV) - NIID 国立感染症研究所・咳エチケット – 厚生労働省・新型コロナウイルスに係る厚生労働省電話相談窓口(コールセンター)の設置について – 厚生労働省・Coronavirus - World Health Organization: WHO・特設サイト 新型ウイルス肺炎|NHK NEWS WEB

谷口 清州

2020.1.31

感染症予防、マスクは「二度づけ」禁止? 再利用する方法は

新型肺炎の影響で品薄の状態が続いているサージカルマスク。在庫がもったいないからと再利用している人も多いようですが、専門家によると「基本的に外したマスクの再利用はおすすめできない」とのこと。「そもそもマスクに予防効果はない」って本当? マスクが買えない状況になってしまったら、本当に再利用する方法はないの?マスクをめぐる誤解や疑問について、感染症の専門家でもある谷口医師に聞きました。マスクに「予防効果」はない?マスクの効能をめぐる誤解最近「健康で何の症状もない人が、予防のためにサージカルマスク(不織布でできたマスク)を着用しても、飛沫感染を予防する効果はない」という記事が散見されます。しかし、100%予防できるわけではありませんが、サージカルマスクが一定程度飛沫感染を予防することは、科学的に証明されています。世界保健機関(=WHO)などが言いたいのは「マスクを装着することが必要なとき(=感染リスクがある場合)に装着することは有効な使用法であるが、リスクが低い、または全くないときに使用するのは意味がない」ということです。飛沫感染に対する効果の有無と、装着することによるメリットの有無は別物なのです。現在の日本は、武漢とは違って地域内感染伝播(※注1)がありません。よって、新型コロナウイルスの予防という点では、マスクを装着する必要はありませんし、そのメリットはありません。もちろん、インフルエンザの流行期にインフルエンザを可能な限り予防したい、花粉症の予防をしたいと言う場合にはマスクは有効です。(※注1)地域内感染伝播:ある地域のなかに、病原体を保有していて感染性を持つヒトが一定程度存在し、その地域内で生活しているとその病原体に感染すること。冬季のインフルエンザウイルスやかぜのウイルスのように、地域の人たちの間で病原体が循環している状態を指す。マスクは「2度づけ」禁止! 正しくつけなければ意味がないまず、マスクの正しいつけ方についてですが、マスクは鼻筋から顎までをしっかりカバーするようにかけます。たまに鼻を出したまま口にだけマスクをかけている人を見かけますが、意味がありません。また、顔の大きさに合ったサイズのマスクを使い、マスクと顔の間にすき間ができないように密着させてください。一般的に使われているサージカルマスク(不織布でできたマスク)は、内部の3次元的な網目構造を利用して病原体を吸着しています。そのため、不自然な形で折りたたんだり、洗ったりすると、この3次元構造が破壊され、効果がなくなってしまいます。ゆえに、一度外したマスクは再使用しないというのが基本です。医療関係者はマスク管理について徹底的な教育を受けています。マスクの外側、特に中心部位には吸着された病原体が付着している可能性があるので、もしマスク表面に触ってしまったら必ず手洗いをしますし、マスクを外したら捨てるようにしています。それだけ厳格に取り扱っているからこそ効果があるのです。マスクを何度も使いまわしたり、サイズが合っていないものを使っていたりしていれば、残念ながらウイルスの侵入を防ぐのに有効な方法とはいえません。マスクが在庫切れ!再利用する方法はないの?全国的にマスクが不足している今、買い占めなどが続くと、本当にマスクが必要な時に手に入らないという可能性もあります。そんな場合に備えて、推奨はできませんが、再利用する方法を伝えておきます。マスクの効果を保持するためには形を崩さないことが大切なので、マスクを静かに外したら、外した形のまま清潔な紙袋などの中に保管します。形を崩さず、湿気のない状態で保存することがポイントです。再び装着するときはマスクのひもを持ってそっと取り出し、やはりマスク表面には触れないようにつけてください。しかし、この方法は「最終手段」であって、二度、三度と使いまわすのはおすすめできません。何らかの症状がある人や、その看病をする人たちにマスクが行き届くよう「必要な分だけを購入し、買い占めをしない」ということも大切だと思います。参考サイト新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)令和2年2月11日時点版 - 厚生労働省Q&A on coronaviruses - WHO

谷口 清州

2020.2.12

原因は「カチカチの血管」だった? 高血圧のQ&A

病気に対する疑問や不安に、横浜市立大学大学院医学研究科 循環制御医学 主任教授の石川義弘先生が答えてくれる「教えて! 石川先生」。第1回の病気は、「高血圧」です。高血圧を放置すると、心臓や血管などのさまざまな臓器に影響を及ぼすことも。しかし、正しい服薬・食生活の改善・定期的な運動・ストレスの軽減などを心がけ、きちんとコントロールすれば、決して怖い病気ではありません。高血圧とは? 高血圧の基準・原因最高、最低がどのくらいになると、高血圧というのですか?日本高血圧学会では、最高血圧(収縮期血圧)140mmHg以上、最低血圧(拡張期血圧)90mmHg以上を高血圧と定義しています。一般的には、最高が120mmHg、最低が80mmHgを正常な血圧としています。どのようにこの基準が設定されたのでしょうか?これらの基準は、統計結果をもとに設定されています。過去に何万、何十万というたくさんの人の血圧を測り、5年、10年たったとき、「どのくらいの血圧の人」が「病気や合併症を起こしにくいか」を調べたのです。しかし極論すれば、一人ひとりの年齢・性別から生活環境・遺伝子まで、何もかもが違うわけですから、同じ140/90mmHgという値であっても、その人にとっては非常に高かったりするかもしれません。また、将来はこの基準も変わるかもしれません。年をとると血圧が高くなると言われています。年齢と共に血圧が高くなるのは、生理的な加齢現象です。血圧の上昇は、ある意味とても物理的な現象です。年齢と共に血圧が上がるのは、血管が硬くなるからです。ゴムホースを血管、流れる水を血液、ポンプを心臓と仮定します。ゴムホース(血管)が柔らかいうちは、多少ポンプ(心臓)を強く押しても、ゴムホース(血管)は柔軟に広がりますから、血圧がそれほど上がりません。しかし、ゴムホース(血管)は、加齢と共にだんだん硬くなって伸展性がなくなりますから、ポンプ(心臓)を強く押すと、血圧も高くなってしまいます。カチカチに硬くなったホース(血管)に強い力をかけると裂けてしまうこともあります。若いときに血圧が正常だった人でも、年をとれば血圧が高くなる可能性が十分にあるということです。さらに血圧は、物理の法則であるオームの法則*によって規定されます。物理学では、抵抗と電流が大きければ、電圧は上がります。血圧でも、血流量が少なければ血管が縮み、逆に多ければ血圧が上がります。これを調整するのが降圧剤です。*V(電圧)=Ω(抵抗)×R(電流):電圧は、電流が大きくなるほど大きくなり、抵抗が大きくなるほど大きくなる日や時間によって、血圧が高かったり、低かったりすることがあります。140/90mmHgという高血圧の基準は、安静状態で測った値です。ですから、ある時間だけ最高血圧が160mmHg だったからといって、慌てることはありません。私も普段は血圧が低いのですが、運動後に測ると最高血圧が160mmHgを超えることは珍しくありません。緊張したり、ストレスがかかったりしたときにも、血圧は上がります。生きている限り、血圧は上がったり下がったりするものなのです。しかし、1日中ずっと高いとなると、ゴムホース(血管)の中に常にたくさんの水(血液)が流れて、ホースがパンパンになっている状態と同じですから、ゴムホース(血管)が劣化したり、破れたりしてしまう可能性があります。血圧を測るのに最適な時間はありますか?個人差はありますが、血圧というのは寝ているときに低く、目が覚めて起きると高くなるのが一般的です。しかし、寝ているときが高くて、起きているときのほうが低いという人もまれにいます。また、日中の血圧は、活動量に応じて上がったり下がったりします。ですから、24時間血圧計を付けて1日の血圧を測れればよいのですが、実際には難しい。そこで患者さんには「起床時と就寝時の2回、血圧を測ってください」と申し上げています。朝起きて血圧を測るときは、まず膀胱(ぼうこう)を空にして緊張をとり、ベッドの上などにしばらく座って、落ち着いてから測るといいでしょう。大事なことは、血圧を測る時間と条件を、毎日同じにすることです。その昔、高血圧の人はいなかった? 高血圧は、生活習慣病のひとつです。その原因について思いをめぐらせると、おそらく昔は高血圧の人は今よりも少なかったはずです。例えば、運動不足。江戸時代には、タクシーもなければバスも地下鉄もありませんでしたから、人びとは毎日10キロ、20キロいう距離を歩いていたはずです。ですから運動不足とは無縁でした。しかし、平成に暮らす私たちが、毎日10キロ歩くのは容易なことではありません。1日中パソコンの前に座っていて、数百メートルしか歩かないということも少なくないはずです。人間の祖先と言われるクロマニョン人やネアンデルタール人の時代には、いったい1日何キロ歩いていたのでしょうね。おなかがすいたら木の実をとるために山の中を歩き回り、肉を食べようと思ったら狩りに出掛け、まずはマンモスを探すところからです。しかし今は、スーパーマーケットに出掛ければ、いろいろな種類の肉が並んでいます。運動しなくても、食べたいときにいつでも肉が食べられるわけです。最近は、カップラーメンやインスタント食品も手軽に食べられるようになりました。しかしこれらが出現してからまだ数十年です。この先、50年、100年とこれらの食品を食べ続けたとき人間の血圧がどうなるのかは、現時点ではまだわかりません。血圧を下げる方法、やっぱり基本は塩分制限と運動薬を飲まずに、血圧を下げる方法はありますか?血管は、縮まった状態が続くと硬くなって、血圧が高くなります。つまり、血管がしなやかになれば、血圧を下げることができるというわけです。血管には、自らの拡張・収縮を制御する能力があります。人間が運動すると、筋肉にはたくさんの酸素が必要になって、血管は自ら広がります。つまり、人間が定期的に運動すれば、血管も定期的に自らを広げる練習をすることになります。そして、血管を広げるときには、私たちが血圧を下げるために飲んでいるどの薬よりも優秀で、性能のよいホルモンのような物質を出していることがわかっています。運動することで、何よりも効き目のあるお薬が、自分の体内で、それもただで作れますからね。これ以上安上がりな治療方法はないと思います。しかし、ものすごく血圧が高い人がいきなり運動を始めるのは危険ですから、その場合はまずは降圧剤を飲んで、ある程度まで血圧を下げてから運動することをお勧めします。そこから薬を減らしていくことはよくあります。血圧を下げるためには、どのような運動をすればよいのでしょうか?私の言う運動は、普段の生活のなかで可能な、散歩やウォーキング、ストレッチなどです。患者さんにはよく「できる限りの運動をしてください」と申し上げています。「運動をしなさい」と指摘されたからといって、オリンピック選手のようなハードな運動を始める必要はありません。徐々に体を慣らしていって、疲れすぎない程度の運動量を見つければいいと思います。よく「1万歩歩きましょう」と言われますが、決してすべての人に共通するものではありません。ちなみに、力むような運動ではなくて、適度に「ハーハー」と息をする有酸素運動をお勧めします。塩分の摂取を減らしても血圧が下がらない人がいるそうですね。高血圧に関係する遺伝子は、おそらく何十種類も何百種類もあり、そのなかには塩分が血圧に影響するかどうかについての遺伝子があるでしょう。その遺伝子を持っている人もいれば、持っていない人もいるでしょうから、塩を制限することによって血圧が下がる人もいれば、あまり下がらない人もいる、ということになります。しかし「血圧を下げたいなら塩分を控えなさい」と言われます遺伝子の話はさておき、それが患者さんにできる簡単な治療法だからです。例えば、漬物の味を見ないで最初からしょうゆをかける人なら、しょうゆをかけるのを止めるだけで、けっこう塩分を控えることができます。「漬物を食べない」は難しいけれど、しょうゆをかけるのを我慢することならできませんか?「しょうゆを絶対使ってはいけない」「みそ汁を飲むな」とい言われたらつらいかもしれませんが、減塩しょうゆや減塩みそに変えることなら、少し努力すれば、できる範囲なのではないでしょうか?古代ローマ人や戦国武将にとって「塩は貴重品」給料をさす「サラリー」の語源は「ソルト」。実は、塩のことなのです。古代ローマでは、給料替わりに当時貴重だった塩を配っていたからだそうです。今の日本人の塩分摂取量は1日10gと言われていますが、古代ローマ人が1日に摂取する塩の量はせいぜい1日3~4g。これは量にして、われわれの半分以下です。おそらく、古代ローマ人は塩分のとりすぎで高血圧になりたくても、それだけの塩を手に入れることはできなかったと考えられます。日本の戦国時代には、「敵に塩を送る」という故事の語源となった、上杉謙信の塩送りという逸話が残っています。今川家により塩を止められた武田信玄の窮状を見かねて、上杉謙信が塩を送ったというものです。人びとの命を守るために、塩がいかに貴重だったのかを表す逸話です。また、昭和の終わり頃までは、塩は日本専売公社が販売していました。政府が管理すべき重要なものだったのですね。降圧薬による治療は一生続く? 認知症との関連は降圧剤を飲み始めたら、一生飲み続けなければいけないのですか?半分本当ですけれど、半分は間違いですね。血圧が高いということには、それなりに原因があるわけです。つまり、血圧を下げたいなら、体重だったり、食生活だったり、座りっぱなしだったり、ストレスだったり、その人の血圧を上げている原因をなくせばいいんです。そういう意味では、降圧剤を一生飲み続けなくてはいけないというのは間違いですね。太っていることが原因なら「痩せる」、塩分が影響しているなら「塩分を制御する」、いつも座りっぱなしなら「ときどき運動する」、仕事にストレスがあるなら「ストレスのない状態にする」などが、血圧を下げる本来の治療方法です。でも、平成のこの世の中ではできないことも多いかも……。となれば、薬の力を借りて血圧を下げるしかありません。自分が努力できないのであれば、降圧剤をずっと飲み続けるという図式になるのは仕方のないことですね。しかし、ものすごく血圧が高い人がいきなり運動を始めるのは危険ですから、その場合はまずは降圧剤を飲んで、ある程度まで血圧を下げてから運動をすることをお勧めします。なかには、最初から血圧が200を超えているほど高いのに、「薬はきらい、努力で治します」という方もいらっしゃいますが、それは危険です。まずは薬の力を借りて、ある程度まで血圧を落とす。その上で運動やダイエットに取り組んだり、ストレスを減らしたりすれば、薬の量はどんどん減らせますから。そうしているうちに薬を飲まなくても良くなったという方は、私の患者さんのなかにもたくさんいらっしゃいます。降圧剤の副作用で、認知症を引き起こすと話題になりました。血圧が下がりすぎると、脳の血流が落ちて認知症になるという話ですね。普段われわれ人間は、頭を上にして生活していますし、血液も下から上に流れるのは難しいので、降圧剤を服用して血圧が下がることで、脳の血圧も低下します。一般的に認知症の方は脳の血流が低下すると言われていますから、心配するのは無理のないことです。しかし、一概に血圧を下げたからといって、それがすぐに認知症につながるとは、言い切れないと思います。下がりすぎれば薬を減らせばよいだけのことです。むしろ高血圧をしっかりと治療したほうが、脳卒中の予防になるなど、はるかに有用です。これだけ医学が進歩しているのですから、もっと簡単に血圧を下げる方法があるのではないでしょうか?腎臓につながる血管の神経を焼き切るといった、いわゆる外科的な方法があります。何をやっても下がらなかった血圧が、劇的に下がったという話もあります。しかしどの人にも絶対的に効果があるとは言えないでしょう。ある人にはとてもドラマチックに効くけど、ある人には全く効かないということです。他にも、自律神経を刺激して、血圧をコントロールする方法もあります。最近は、血圧が悪者のごとく扱われがちですが、血圧はそもそも生命を維持するために絶対的に必要なものであり、その血圧は、自律神経によって制御されているのです。ですから血圧自体は悪者ではありません。医学の世界に「絶対」はありませんから、この方法・薬だったら「100%治る」などということはありません。むしろいろいろな薬や治療を試して、自分に合った治療法を選んでいくことですね。そういった治療を行うことが、専門医の得意とするところでもあります。インタビュー・文:たなか みえ/イラスト:浅海 司関連記事40歳以上の日本人のほとんどが動脈硬化の危険因子をもっている?タマネギ・赤ワインの効果は? 動脈硬化のQ&A

石川 義弘

2018.5.28

マンガで解説! 外出中・帰宅後の感染リスクを減らす行動

感染拡大が止まらない新型肺炎。自分と家族の健康を守るためには「基本の感染症対策」を徹底することが大切です。外出先で気をつけることは?家に帰ったらどんな行動をとればいい?感染症の専門医でもある谷口医師に聞きました。新型コロナウイルス、現在の日本国内の状況は?現時点で、国内で新型コロナウイルスの地域内感染伝播(※注1)が起きているという証拠はありません。(※注1)地域内感染伝播:ある地域のなかに「病原体を保有していて感染性を持つヒト」が一定程度存在し、その地域内で感染が伝播していくこと。武漢で起きているような、ヒトからヒトへの感染連鎖が追跡できない状態過剰に心配する必要はありませんが、一方では、地域内感染伝播が疑われるような事例が出てきています。まだ詳細は不明ですが、次の局面に備えて自分でできる感染対策を考えていきましょう。冬は風邪やインフルエンザが流行する季節でもあります。新型コロナウイルスへの対応も基本は同じです。自分と家族の健康を守るために、基本の感染症対策を徹底しましょう。帰宅したらまず何をすべき? 感染リスクを減らす行動順序は家に帰ったら、まずはマスクをはずして捨てます。表面にはウイルスなどの病原体がついている可能性があるので、紐の部分をもって外してください。マスクを外した後は、手をしっかり洗ってください。新型コロナウイルスはもちろん、かぜを引き起こすウイルスやインフルエンザウイルスには、アルコール消毒も有効です。アルコール消毒をする場合、1プッシュだけでは十分な量が出ていないこともありますので、2プッシュを目安に使用するとよいでしょう。手を洗った後は、洗濯・交換済みの清潔なタオルで拭いてください。特に感染症が気になる今の時期だけは使い捨てのペーパータオルを使うとか、ミニタオルを複数枚用意して、手を拭いたら都度洗濯するというのもよいでしょう。以上を実践していれば、外で拾ってきたウイルスなどの病原体を体内に取り込んでしまう可能性は低くなります。それでも気になるという方は、一日中着ていたコートなどは玄関前ではたき、玄関のドアノブやスマートフォンなど、日常的に外出先や電車内などで取り出して触れる機会があるものについては、アルコールの入った除菌ティッシュなどでふき取るという方法もあります。病院や公共の場所など、いろいろな病原体がいる可能性が高い場合、あるいは不特定多数の方が触れるものにはこういった対策も行いますが、自宅であれば普通の掃除をしておけばよいと思います。アルコールを使うと、材質によっては、変色・脱色することもありますから、目立たない場所で試してからにしてください。自宅は病院と異なり、さまざまなウイルスや細菌が行きかうような場所ではありません。もちろん、外界でいろいろな病原体と遭遇しているとは思いますが、それらをすべてシャットアウトすることは不可能です。上記の行動により外から持ち帰ってきたウイルスなどの病原体を減らすこと、そして何よりも大切なのは、鼻・のど・目などの粘膜に病原体が付着しないように手を洗うことです。日中もこまめに実行したほうがよい感染症対策は?やはり、石けんでの手洗いとアルコール消毒です。外出先から帰ったときや、電車のつり革やエレベーターのボタン、ドアノブ、お札や硬貨などの公共物に触れた時は、積極的に手洗い・消毒をするようにしてください。なんといっても大切なのは「口・鼻・目」などの粘膜から病原体を入れないことです。ウイルスがついた手で食事をとったり、鼻や目をこすったりすれば、ウイルスの侵入を許すことになってしまします。食事の前だけでなく、知らずしらず顔の粘膜などに触れる癖のある人などは、手洗い・消毒を徹底してください。参考サイト新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)令和2年2月11日時点版 - 厚生労働省Q&A on coronaviruses - WHO

谷口 清州

2020.2.14

初期症状がでにくい糖尿病。栄養の取りすぎが病気の原因に。

糖尿病と言うと、「太っている人の病気」と思われがちですが、そんなことはありません。よくない生活習慣を続けていれば、誰もが発症しうる身近な病気です。しかし、なぜ糖尿病になるのか、糖尿病を発症するとどんな不都合があるのかなど、詳しく知っている人はあまり多くないのが現実です。石川先生に詳しく解説していただきましょう。糖尿病とは糖尿病って、どんな病気ですか?文字のとおり、「尿に糖が出る病気」です。糖尿病の人の尿は甘いので、ありが寄ってきます。おそらくそんな様子を見て、昔の人が「糖尿病」と名付けたのかもしれません。なぜ尿に糖が出てしまうのでしょう?糖は私たちの体にとって大事な成分ですから、本来、尿に流れ出ることはありません。しかし、糖のとりすぎにより、腎臓がコントロールできる量以上の糖が血液中を流れ、結果として尿の中に糖が出てきてしまうのです。糖は体に悪いのでしょうか?糖のとりすぎが体によくないだけで、糖自体は体に悪いものではありません。糖は、生物体・人類にとって最高のエネルギー源です。われわれの体は、ブドウ糖、つまりグルコースを使って動いており、糖がなければ人間は生きていくことができません。糖がなくなってしまうと脳の活動が停止してしまいますから、人間にとっては絶対に必要な成分と言えるでしょう。ですから、人間の体には、血糖値がある程度以下にならないよう厳密にコントロールする仕組みが備わっています。ここで登場するのが、血糖値が高くなりすぎないようにコントロールする「インスリン」というホルモンです。糖尿病の原因とインスリン糖尿病とインスリンの関係を教えてください。食事をすると血糖値(血液中の糖の濃度)が上がります。インスリンは、上昇した血糖値を下げるホルモンで、血液中の糖を筋肉などの組織に取り込ませることで血糖値を一定に保つ働きがあります。簡単に説明すると、「食事をする⇒血糖値が上がる⇒インスリンが分泌される⇒ブドウ糖が筋肉などの組織に取り込まれる⇒血糖値が下がる」ということです。本来、インスリンが効かないという人はいませんが、運動不足や栄養過多が続くとインスリンの働きが悪くなり、血糖の取り込みが上手にいかなくなります。これを医学用語では「インスリン抵抗性」と呼びます。糖尿病のなかには、膵臓(すいぞう)にあるβ細胞が壊れてインスリンが分泌されなくなってしまう「1型糖尿病」と、いわゆる成人型糖尿病と言われる「2型糖尿病」があります。後者の2型糖尿病は、ほんの数十年前までは「お金持ち病」と言われていました。それだけ糖がとれるのは、お金持ちだけだったのでしょう。糖尿病には、栄養過多や肥満が大きな原因になるということでしょうか?肥満になると、筋肉に取り込まれなかった多量の糖が血液中に流れることになります。これが糖尿病の原因となります。インスリンは、膵臓の中にある特殊なインスリン分泌細胞(β細胞)で作られています。健康なときは、糖を筋肉に取り込むために十分な量のインスリンが分泌されますが、肥満が進んで血糖値が高くなると、増えてしまった糖を筋肉に取り込むために、さらにたくさんのインスリンが分泌されるようになります。ところが、そのうちにβ細胞はインスリンを出すことに疲れてしまい、だんだん分泌が落ちてきてしまう(インスリン分泌障害)。インスリンの分泌が落ちているのに、肥満のまま、糖をたくさん摂取し続けていると、糖は筋肉に取り込まれなくなって血中にあふれてしまいます。この状態を糖尿病と呼びます。糖尿病に初期症状はない?糖尿病になるとどんな症状が出るのでしょうか?糖尿病には初期症状がほとんどありません。多少疲れやすくなったり、尿の量が多くなったりすることがあるぐらいです。多くの場合、健康診断で血糖値やHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の値が高いとか、尿に糖が出ていると指摘されて気づきます。糖尿病を見つけるために、どのような検査があるのでしょうか?「空腹時血糖健康診断」という空腹時の血糖値を測る方法と、血液検査で過去1~2カ月の平均血糖値であるHbA1cを測る方法があります。血糖値は、ガムをかんだり、砂糖をなめたり、コーヒーを飲んだりするだけでも変動してしまいますから、過去1カ月の平均血糖値が分かれば、より正確な診断をすることが可能になります。ほかに、尿検査や砂糖水を飲んだあとの血糖値を測る方法(経口ブドウ糖負荷試験)もあります。ちなみにHbA1cというのは、血液中のヘモグロビンと糖が結合したものです。血糖値が高い状態が続くと、体のあちこちに糖が付着し、タンパク質であるヘモグロビンをも変性させてしまいます。忙しくて健康診断を受けていなかったら、突然心筋梗塞になって、調べてみたら血糖値が高かったという方も少なくありません。糖尿病になると、糖が体のあちこちに沈着するので、血管も砂糖漬けになり、ボロボロになってしまうのです。血管が砂糖漬け……。やはり、ケーキやおまんじゅうなど甘いものが好きな人は糖尿病になりやすいのでしょうか?基本的には、ケーキを食べても、おにぎりを食べても、私たちの体はエネルギー物質に変えることができます。だから食べるのはかまいませんが、大切なのは食べ過ぎないことです。一般的には、体重と身長から肥満度を表すBMI(体格指数)による適正体重を保つのがよいとされています。それにプラスして、ご両親が糖尿病であるかなどの遺伝的な背景も考慮する必要があります。ご両親に糖尿病の気がある方があまりよくない生活習慣を続けて太ってしまったら、間違いなく糖尿病を疑うべきでしょう。糖尿病はどのような問題を引き起こすのでしょうか?糖尿病の人は、血管が砂糖漬けの状態です。すなわち、血管が硬くなったり詰まりやすくなったりするような病気は、おおかた糖尿病に合併すると思って間違いないでしょう。脳の血管なら脳梗塞、心臓なら心筋梗塞、目なら失明など、糖尿病からさまざまな病気が派生します。糖尿病は尿に糖が出てしまう病気ですが、実態は血管病で、全身の血管がだめになってしまうことが問題なのです。とはいえ、どの病気もそう簡単になる病気ではありませんから、1年に1回、必ず健康診断を受けるようにしていれば、心配には及びません。もし糖尿病になってしまったら?もし糖尿病になってしまったら、どうすればいいのでしょうか?糖尿病は、透析が必要になったり、失明したりというリスクを伴う怖い病気です。しかし、糖尿病の人全員がそうなるわけではありません。糖尿病だと診断されても、しっかり治療を受ければ心配することはありません。1型糖尿病の方は膵臓からインスリンが分泌されなくなっているので、外からインスリンを補うしか方法はありませんが、2型糖尿病の方は、適切な治療を受けることに加えて、ご自身の生活習慣を改善していくことによって糖尿病が治るという方もいらっしゃいます。薬を正しく服用するのとともに、生活習慣を改善していくことが大切なのですね。膵臓を刺激してインスリンの働きを高めたり、効果を促進したりする、さまざまな種類の薬が出ています。つい最近だと、余分な糖をわざと尿に出してしまう薬も出てきました。しかし、人間がこれらの薬を飲み始めてまだ数十年です。新薬が効くことは間違いないのですが、これらの薬をこれから何十年か飲み続けたときに、どんな副作用があるかというのは、誰にも分かりません。となると、やはり一番よいのは、昔ながらの、食事制限と運動ということになります。このふたつは何百万年も前から続いていますので、絶対に副作用はありませんからね。父も糖尿病だったけど長生きした。だから私も…糖尿病の多くは遺伝します。あるとき私の診察を受けにきた患者さんが言いました。「父も糖尿病ですが、85歳の今も元気です。だから私も大丈夫ですよね。」確かに、この患者さんは、お父さんの糖尿病の遺伝子も、85歳まで生きられる遺伝子も持っています。そして案の定、糖尿病になってしまいました。さて、この方はお父さんと同じ85歳まで生きられるでしょうか?答えは、このままの生活を続けていれば、「NO!」です。なぜなら、お父さんがこの患者さんと同じ年齢を生きた時代と、今、患者さんが暮らすこの時代が違うからです。私は患者さんにお聞きします。「あなたは、あなたと同じ年齢のときにお父さんが食べていたのと同じ食事をしていますか?」「あなたは、あなたと同じ年齢のときにお父さんが歩いていたのと同じ距離を歩いていますか?」どう考えても、今の人たちのほうが、健康に悪い生活をしているのは一目瞭然。おいしいものを苦労せずに食べられて、おまけに歩く距離も減ったとなれば、お父さんより明らかに健康に悪い生活を送っていることは間違いありません。おまけに仕事が忙しくて、ストレスに追われる毎日を送っています。つまり、お父さんの世代なら糖尿病でも85歳まで生きられても、「おいしいものを手軽に食べられて」「歩かず」「ストレスフルな」環境にいる患者さんは、このままの生活を続けていたら厳しい、ということになってしまいます。とはいえ、現代において、昭和の時代と同じように、食事をして、歩いて……という生活するのは、不可能に近いことです。それでも、少しずつ若い頃のお父さんと同じ生活習慣に戻す努力をしていただいて、足りない分を現代のお薬で補うというのが、本来のやり方ではないでしょうか。現代の美食をして、現代の運動習慣もそのままで、悪くなった分も現代の薬で補う。薬を飲めば、確かに血糖値は下がるかもしれませんが、人間・生物としては一番好ましくない治療方法だと思います。インタビュー・文:たなか みえ/イラスト:浅海 司

石川 義弘

2019.10.10

胸部X線検査(胸のレントゲン)で何が分かるの?

胸部X線は、心臓の大きさや血管の太さ、肺に影がないかなどを調べています。これにより、肺の病気や心不全などの心臓の病気など、色々なことがわかるのです。心不全とは、心臓のポンプ機能が何らかの原因で破綻したり、弱まったりして、全身の臓器に必要な血液を送り出せなくなった状態のことを指します。心不全の原因としては、弁膜症、虚血性心疾患、心筋症、先天性心疾患などの心臓の病気や高血圧など、さまざまなものが挙げられます。胸部X線では心臓は白く、肺は黒く写ります。なぜなら、X線は「空気→水→骨」の順で「黒→白」という風に写るからです。骨が白く写って、空気は黒く写るわけですが、肺は空気をたくさん含んだスポンジみたいなものなので、ほとんど黒く写ります。一方、心臓は血液を入れた袋のようなものなので白っぽく写ります。心不全になると心臓のポンプとしての働きが弱くなり、どんどん血液が渋滞して、心臓のほうにも血液が溜まっていき、心臓が大きくなってしまいます。胸部X線によって心臓の白いシルエットが大きくなっていれば、可能性の一つとして、心不全が疑われるのです。胸部X線を横から撮ることもありますが、これは心臓などに異常があった場合、前から見たときにわからない位置関係を側面から調べるために行っているのです。ちなみに、「肺がん」というと「胸部X線で肺に影がある」と思われるかもしれませんが、初期の肺がんはCT検査や喀痰検査(かくたんけんさ:吐き出した痰を調べる検査)などで詳しく調べないと見つからないこともありますので、胸部X線写真が「異常なし」という結果でも、注意が必要です。

梅村 将就

2020.1.23

新型肺炎、今後注意が必要なニュースは?

次から次へと新しい事実が報道される新型肺炎。どのニュースがどんな意味を持つのか、次に「節目」となるニュースは何なのか?SARS対策も経験した感染症専門医・谷口医師に聞きました。節目となるニュースは「国内における地域内感染伝播の成立」今、日本国内で新型コロナウイルスの問題に対峙している人が一番恐れていることは、これまでに判明している患者さんとの接触がない感染者が見つかること、すなわち日本国内での地域内感染伝播です。地域内感染伝播というのは文字通り、ある地域のなかに「病原体を保有していて感染性を持つヒト」が一定程度存在し、その地域内で感染が伝播していくことを指します。冬季のインフルエンザウイルスやかぜのウイルスのように、地域の人たちの間で病原体が循環している状態をイメージしてください。2019年12月末から2月にかけて、中国湖北省武漢市で起こっている集団感染、そして今話題になっているクルーズ船での集団感染も、誰から誰へ感染が広がったのか明らかにすることが難しい状況です。このように、ヒトからヒトへの感染連鎖が追跡できない状態を、地域内感染伝播といいます。逆に、ヒトからヒトへの感染連鎖が追跡できる状態を「濃厚接触による限定的なヒト-ヒト感染」といいます。これが起こっているのが現在の日本の状況です。国内で感染が確認されている人たちは少なくとも渡航歴のある方からの二次感染で、「誰から誰に感染したか」が分かっているため、現状のところ、日本では新型コロナウイルスの地域内感染伝播はないと言えます。現状維持のためには、患者さんがでたときの疫学調査(1人の患者さんがどこからどのように感染したか、その感染の原因となったリスク因子はなにかを調べる実地調査)が極めて重要です。もし今後、とある地域で「誰から感染したかわからない患者さん」が次々と出てきた場合には、地域で感染伝播が進行している状況を考えねばなりません。国内の新型コロナウイルス対策は、新たなフェーズに突入することになるでしょう。地域内感染伝播が起こっても個人ができる対策は変わらない新型コロナウイルスの地域内感染伝播が起こったら、通常の季節性インフルエンザと同じ状況になるということです。電車の中や職場、保育園、娯楽施設など、いろいろなところで感染しうるリスクがあるので、季節性インフルエンザと同様の対策が必要です。つまり、日常的に手洗いをし、状況に応じてマスクを使用して自分を守り、特に高齢の方や基礎疾患(高血圧・糖尿病などの持病)のある方は、人混みを避けておくことが大切です。今までにも新型コロナウイルスの予防として基本の感染症対策をおすすめしてきましたが、われわれ個人にできることは変わりません。新型肺炎の症状、今すぐできる対策は? 感染症専門医が解説(最終更新:1月31日)https://opendoctors.jp/news/detail/77cfd718bf72d85bd60bf6acfa7b0eea/ただし、予防するワクチンがないこと、治療する薬剤がないことは、インフルエンザと異なります。状況によっては、不特定多数の人が集まる場所、学校や事業所での感染拡大防止対策をとることも必要になるでしょう。ただ、現在ワクチンが急ピッチで開発されていますし、治療薬については何種類かの抗ウイルス薬の治験が進められています。正確な情報の把握と感染までの「時間稼ぎ」が命を救う通常、地域内感染伝播が起こる場合には「感染者が地域で歩き回れる程度に元気である」ということが条件です。感染者がすべて重症化して肺炎になれば、外を出歩くことは難しくなってくるはずだからです。新型コロナウイルスに関しては、今のところ「重症者がでるものの、軽症者もかなり多い」という状況で「かかれば必ず重症になる」というわけではありません。しかし、今後ウイルスが変異を起こして重症化率が高くなる可能性もありますし、無症候性(症状がない)感染例・軽症例の割合や、そういった感染者が感染を広げる力(感染性)についても徐々に明らかになってくることでしょう。新たなフェーズを乗り切るためには、今までと同様、正確な情報をいち早く知る力が試されます。SNSなどではデマが飛び交い、正しい情報と不確かな情報が混在しています。テレビ・新聞などで報じられるニュースはもちろん、国・自治体や研究所・病院などの公的機関が発信する情報を常にチェックしておきましょう。また、地域内感染伝播地域が起こった場合、多数の死者が出るのを防ぐ方法として「できるだけ感染しないようにして時間を稼ぐ」ことが有効だと考えられます。重症になる患者の割合にもよりますが、患者が一度にたくさん発生すれば、病院は患者であふれて、ひとりひとりが十分な治療を受けられない状況になります。また、不安になった人たちが感染していないのに病院に行けば、病院で新型コロナウイルスにかかってしまいます。武漢では現在なこのような状況が起こっているという報道もされています。このような場合、軽症であれば「周囲に感染させないように留意し、自宅で安静して十分な栄養と水分を補給して経過をみる」ことが、自分と周りの人々、そして医療機関を守ることにつながります。これによって、一時に多数の患者がでることを防げれば、病院が患者であふれることもなく、感染した人をきちんと診ることができ、重症になった患者さんに十分な治療ができます。これを被害低減戦略(Mitigation strategy)と言います。国の対策、個人の対策は「今のまま」で大丈夫なのか現在、国および地方自治体の公衆衛生行政は、可能な限り地域内感染伝播を防ぐ努力をしています。つまり、患者さんを早期発見し、きちんと医療機関で感染対策を行って治療することにより感染の拡大を防ぎ、その方の濃厚接触者を特定して、健康状態を監視して、発症すればすぐに医療機関に収容して、それ以上の感染の拡大を防いでいます。2003年のSARSの際には、このような戦略によってSARSコロナウイルスを封じ込めることに成功しています。その当時はまだわかっていませんでしたが、実はSARSコロナウイルスの無症候性感染例は非常に少なく、軽症例や発症した早期には感染力が極めて低かったのです。そのため、熱や咳がでて、肺炎を起こした人を医療機関できちんと治療していれば、それ以上の感染伝播を防ぐことができたわけです。封じ込めがうまくいくかどうかは、新型コロナウイルスの特性によるところも大きいので、どんなに努力をしても、最終的には地域内感染伝播が樹立されるかもしれません。現状では、今回の新型コロナウイルスには軽症例、無症候性感染者がいることがわかっていますが、この人たちがどれぐらい感染を広げる力があるかについては十分にわかっていません。現在行っているような対策によって、封じ込めができるかもしれませんし、できなかったとしても、少なくとも感染の拡大を遅延させる効果があります。繰り返しますが、今のところ、新型コロナウイルスは日本国内で地域内感染伝播を起こしてはいません。つまり、普通に生活していて感染するリスクは低い状況です。ただ今も国内には、海外で感染した人と、その人との濃厚接触により感染した人が存在します。ひょっとしたら、まわりにいわゆる「無症候性感染者」がいるかもしれません。しかしながら、現状ではこの無症候性感染者の感染性については、まだよくわかっていない段階です。第一線にいる専門家たちが「まだ確実なことがいえる段階ではない」と言っていることについて、心配しても仕方がありません。今私たち一人ひとりにできることは、日常的に手洗いをして自分を感染から守り、症状があれば咳エチケットで周囲に広げないようにし、状況に応じてマスクで防御しておくことです。現段階で、普通に街を歩くのに新型肺炎予防のためと言ってマスクをつけても、メリットはありません。それどころか、何らかの症状がある人やその看病をしている人、そして最前線で働く医療者たちにマスクが行き渡らないのではないかと危惧しています。なお、マスクにまつわる誤解と疑問についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。感染症予防、マスクは「二度づけ」禁止? 再利用する方法はhttps://opendoctors.jp/news/detail/debc9015572dd18bd1050daf1281007c/参考サイト新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)令和2年2月11日時点版 - 厚生労働省感染症対策特集~様々な感染症から身を守りましょう~ - 首相官邸Q&A on coronaviruses - WHO新型コロナウイルス(2019-nCoV) - NIID 国立感染症研究所特設サイト 新型ウイルス肺炎|NHK NEWS WEB

谷口 清州

2020.2.13

痛風ってどんな痛み? プリン体が多い食事に注意 痛風のQ&A

病気に対する疑問や不安に、横浜市立大学大学院医学研究科 循環制御医学 主任教授の石川義弘先生が答えてくれる「教えて! 石川先生」。第3回の病気は、「痛風」です。「風が吹くだけでも痛い」と痛風の患者さんが話しているのを聞いたことがあります。石川先生も「今まで経験したことのないくらい痛いですよ」と言います。平成28(2016)年の国民生活基礎調査によれば、男性の痛風による通院者率(人口千対)は、60代で36.8%、3人に1人が痛風であることがわかります。痛風は「ぜいたく病」と言われることも……?そうですね。日本では「徳川家の歴代将軍も加賀百万石の殿様も、誰ひとりとして痛風になった人はいない」と言われているからでしょうか。よく痛風の患者さんに「名誉ある病気になれて、あなたはなんてラッキーなのでしょう。徳川家康よりもぜいたくな暮らしをされているんですね。」とお話しします。痛風とはどんな病気?DNAの代謝物質である尿酸が体内にたまりすぎてしまうと、さまざまな病気を引き起こします。まず、血液中の尿酸の濃度が高まると、高尿酸血症といわれる状態になります。たまりすぎた尿酸が関節の中で結晶化し、炎症が起きた状態を痛風と言います。一番多い症状は痛風結節といって、特に足の親指の付け根あたりが痛くなります。他にも、腎臓がやられてしまったり、結石のような石になったりするケースもあります。「痛風は痛い」?どのくらいの痛み?あなたが男性なら過去に経験したどんな痛みより痛いですよ。男性である私は経験したことがないけれど、お産くらい痛いとも言われています。足の親指の付け根あたりがパンパンに腫れあがって、患者さんいわく、「風が吹いただけでも痛い」そうです。グルメの国フランスでは、かなり昔から痛風があったようですが、その当時の医学漫画には、やりを持った悪魔が痛風患者の足を突っついている様子が描かれています。キャビア、めんたいこ、白子、あん肝などのいわゆるグルメ食と言われる魚卵や、プリン体が多く含まれるビールは、痛風の原因になります。日本やアジア諸国の食生活がヨーロッパに近づいたということでしょうね。あくまでも食べ過ぎや飲み過ぎがいけないのであって、食べてはいけないということではありませんよ。プリン体0というビールならいくら飲んでも大丈夫?いいえ。プリン体0でも、飲み過ぎれば肝臓や腎臓などの代謝系機能に障害が起きてしまいます。確かに痛風の患者さんにはビール好きの方が多いので、「飲むのならプリン体0の方がいいですよ」とお話ししますが、あくまでも程度問題です。飲み過ぎたらだめですよ。痛風の痛みを忘れるためにお酒を飲んでいるという人もいましたけどね(笑)。痛風になったらどんな治療をする?痛風は、年がら年中痛いわけではなくて、ときどき起きる発作が痛いんですね。その発作が起こると1週間くらいは、痛くて歩けなるようなこともありますが、それ以外のときは症状がありません。ですから、痛風発作を起こさないように、まず食生活を見直すこと。そして、薬を服用して、ある程度まで尿酸値を下げておくことが大切です。痛風によく効く薬はある?確かに最近は、尿酸の排せつを促進したり、尿酸の産生を抑制したりと、さまざまな効能を持つ薬があります。しかし、薬を飲んでいるからといって、あん肝をつまみにビールを飲んでいたら、本末転倒です。ずばり、痛風は治療すれば治る?痛風は、尿酸値をコントロールできれば発症しません。しかし、痛風になりやすい体質の方も少なくありませんから、やはり正しい食生活や生活習慣を心がけることが基本になります。痛風が悪化するとどうなる?なかには、足の関節が変形して、歩けなくなってしまうほどひどい症状の方もいらっしゃいますよ。痛風が他の病気につながることは?例えばですが、梅毒にかかっている患者さんが診察にいらしたとき、どのような検査をすると思いますか? 医師はまず、梅毒にかかっているなら、淋病(りんびょう)やクラミジア、時にはエイズもと、さまざまな性病の可能性を考えます。つまり、この患者さんには、「梅毒にかかるような生活習慣があったのではないか?」と考えるんです。それと同じで、痛風の患者さんを診るときには、「この人は痛風になるような生活習慣なのかな」と考えてみるわけです。もしそうだとしたら、そのうち、糖尿病や高血圧などの生活習慣病になってもおかしくありません。なかには遺伝が強く関わっているケースもありますが、大体の病気は、表面に現れている症状だけではなくて、原因となる生活習慣にも目を向ける必要があるということです。ぜいたくな生活をしていたら、痛風以外の病気が起きてもおかしくありませんよね(笑)。痛風になるような人は、その生活習慣を見直していかなければ、きっと高血圧にもなるし、糖尿病にもなるし、動脈硬化にもなるでしょう。どんどんつながっていってしまいますよ。ストレスが痛風に影響する?ストレスがかかると、過食に走る人も多いです。過食という生活習慣の結果、痛風につながることもあるかもしれません。決して、ストレスだけが独立して痛風の原因になっているというわけではないと思います。生活習慣は、食べるものであり、仕事の仕方であり、生活のリズムであり、運動習慣でもあります。その昔、家に電灯などなかった頃は、暗くなったら仕事は終わりという人が多かったことでしょう。それがここ数十年間で、当然のように深夜まで残業をするようになってしまいました。こういった生活習慣の変化がストレスとなり、ストレスがまた生活習慣を悪化させ、痛風の発症に関わっているという可能性は、大いにあるでしょうね。参考文献:平成28年国民生活基礎調査インタビュー・文:たなか みえ/イラスト:浅海 司

石川 義弘

2019.10.29

止まらない感染拡大。新型肺炎、今できる対策は?(最終更新:1月27日)

本記事の最終更新日は1月27日ですこの記事の内容は古くなっています。最新情報はこちらの記事でご確認いただけます。新型肺炎の症状、今すぐできる対策は? 感染症専門医が解説(最終更新:1月30日)2019年12月以降、中国内陸部の湖北省武漢市で、新型コロナウイルスによる肺炎患者が相次いでいます。現時点でわかっている情報と対策を整理しました。編集部追記(1月27日):中国の保健当局は、患者の数は中国国内で2744人になったと発表しました。患者のうち重症者は461人にのぼっており、死者は合わせて80人となりました。中国本土以外では、これまでに13の国と地域で57人の感染者が確認されています。現時点で、パンデミック(世界的大流行)を起こす可能性は?今後パンデミック(世界的大流行)に進展するリスクは「持続的・効率的なヒトからヒトへの感染が起こるかどうか」によります。これまでのSARS、MERSでは持続的・効率的な「ヒト-ヒト感染」は起こっておらず、あくまで濃厚接触による限定的な「ヒト-ヒト感染」にとどまっていました。新型コロナウイルスについても、感染性の程度をもう少し詳細に評価することが必要です。現時点では、夫婦間での感染や中国国内の医療従事者の感染が確認されています。これは、「ヒト-ヒト感染」が起こっている可能性を強く示唆しています。しかし、いずれも患者に濃厚接触をした者が発症しているのみであり、現状ではヒトからヒトへの感染性は高くないと考えられます。家庭・病院内での濃厚接触など、特定の状況では感染しうるということを示唆しており、「持続的・効率的な『ヒト-ヒト感染』が起こっている」とは言えない状況です。新型コロナウイルスはどれぐらい危険?また「かかったらどれぐらいの人が亡くなってしまうのか」といった、「ウイルスそのものの怖さ」もまだ詳しくわかっていません。コロナウイルスというものは、もともと軽症で済むものから重症になるものまで幅がとても広いので、おそらく軽症者はもっといると思われますが、SARSコロナウイルスに類似しているとすればこれらの数は限定されるかもしれません。どのくらいの数が感染して、その中でどのくらいが肺炎を起こすか、そのうちのどのくらいが致命的なのかということがわかるまでは、ニュースなどで今後の状況の変化に注意しつつ、以下の対策を取り続けてください。現状、日本国内では地域内の感染伝播はありませんので、国内で暮らされている方々が心配されるようなことはありません。新型肺炎になると、どんな症状が出る?中国からの報告によると、新型コロナウイルスに感染・発症した患者には以下のような症状がみられるとのことです。・発熱・全身倦怠感・乾いた咳(せき)・入院患者では呼吸困難も多い・その他、筋肉痛、関節痛、頭痛、下痢なども報告されているこれらの症状は、いわゆる風邪やインフルエンザウイルスなどに感染した時にもみられるものです。のどや鼻のあたりの炎症(上気道炎)だけでは済まず、肺にまで炎症が広がる(肺炎)と、咳や呼吸困難などの症状が全面にでて、時に血痰がでることもあります。今すぐできる対策は?現在、新型コロナウイルスが国内で感染伝播することを防止するのにもっとも重要なのは、・武漢市への渡航歴があって発熱と気道症状(咳やのどの痛みなど)のある人は、マスクをしたり、咳やくしゃみをティッシュでおさえたりするなどの「咳エチケット」を守ること。・武漢市への渡航歴があって、発熱と気道症状がある人は、公共交通機関を使用せずに、医療機関を受診して、きちんと渡航歴を伝えること。この2点になります。武漢市への渡航歴がない人、武漢市への渡航歴があっても発熱と気道症状がない人は、ニュースなどで今後の状況の変化に注意してください。感染の対策としては、現在はインフルエンザや風邪のウイルスも地域に存在していますので、基本的に手洗いと「咳エチケット」を守ることだと思います。【解説】コロナウイルスとは?コロナウイルスの中でも、これまでにヒトに感染すると判明しているものは、本来はほとんどがいわゆる「風邪症候群」を起こすウイルスです。ヒトに日常的に感染する4種類のコロナウイルス(Human Coronavirus:HCoV)は、HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1で、風邪症候群の10~15%(流行期は35%)はこれら4種のコロナウイルスを原因とします。過去に深刻な流行を起こしたSARSとMERSは、動物のコロナウイルスが人間世界に入ってきたものです。参考サイト・中華人民共和国湖北省武漢市における新型コロナウイルス関連肺炎について(第5報) - 厚生労働省・Coronavirus - World Health Organization: WHO・中国湖北省武漢市で報告されている新型コロナウイルス関連肺炎に対する対応と院内感染対策 - NIID 国立感染症研究所・特設サイト 新型ウイルス肺炎|NHK NEWS WEB

谷口 清州

2020.1.27

心不全ってどんな病気? 原因・症状・治療方法は

テレビの報道などでもよく耳にする「心不全」。実は病名ではないって、ご存じでしたか? 心臓の病気だと思われがちですが、「心不全」とは病名ではなく、心臓のはたらきが悪くなった結果起こる状態を指しています。石川先生に詳しく解説していただきましょう。心不全って病気?簡単にいうと?心不全とは病名ですか?「心不全」はポンプである心臓の能力が落ちてしまった状態で、病名ではありません。よく比較される「心筋梗塞」は、「心不全」の原因のひとつですね。「心筋梗塞」が起きたけれど、心臓の筋肉は死なずに生き残った。しかし、心臓のポンプ機能は低下してしまった、という状態を「心不全」といいます。心筋梗塞の他にも心不全の原因はありますか?以前は高血圧が心不全の大きな原因でしたが、血圧を下げるよい薬が出てきたこともあって、この20年くらいは心筋梗塞を原因とする心不全が増えています。高血圧が心臓に悪さをしているということですか?そう。例えば、われわれが重たいバーベルを毎日持ち上げていると、筋肉隆々になりますよね。それと同じで、血圧が高いと、心臓はその高い血圧に逆らって血液を送り続けなくてはならないから、心臓の筋肉が太ってしまう。それを「心肥大」と呼ぶんです。心臓が太るとどうして心不全になってしまうのですか?心臓が肥大すると、血液を送る力は強くなりますが、高血圧のまま血液を送り続けていると、そのうち心臓が疲れて、へばっちゃうんです。そうすると、ポンプそのものの能力が落ちてしまいます。原因が心筋梗塞でも高血圧でも、心不全のポイントは心臓のポンプの能力が弱くなってしまうということです。心不全の検査・症状は?どんな検査をすると心不全であることがわかるのでしょうか。エックス線(レントゲン)検査で心臓の大きさを、超音波検査で心臓の動きを確認することができます。また最近は、血液検査で、心臓に負担がかかると分泌されるBNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)というホルモンを測ることで、心不全や心肥大を発見できるようになりました。どんな症状が現れたら、心不全を疑えばいいのでしょうか?高血圧や動脈硬化、糖尿病の方は、手足がむくむ、息切れがする、ちょっと動いて息切れがするなどの症状が出たら、できるだけ早く受診してください。特に、高血圧が長く続くと心臓がへばってしまって、命に関わる重度の心不全になることがあります。そうならないためにも、普段からしっかり血圧をコントロールしておくことが重要です。心不全の治療とは?心不全になってしまったら、どんな治療をするのでしょうか?利尿剤と交感神経への刺激を抑える薬の2種類を組み合わせて飲むことが多いですね。心不全になり、心臓のポンプのはたらきが落ちると、全身にうまく血液が巡らないので、腎臓で尿が作られにくくなります。そうすると、本来外へ出るはずの尿が、水分として体の中にたまっていきます。利尿剤を使ってその水分を外に出すことで、心臓への負担を減らします。交感神経への刺激を抑える薬というのはどういう薬ですか?心不全になって心臓の動きが悪くなると、われわれの脳は心臓に「もっと働け」と、交感神経を通じて指令を出します。結果として心臓をいじめてしまうことになるので、薬で交感神経の活動を抑えています。心不全にならないための予防や、気を付けるべきことはありますか?高血圧や動脈硬化、心筋梗塞などの病気をもっている人は、病気を放置することなく、早めに治療することを心がけておくといいと思います。そうすることで、もし心不全になっても、軽い症状で済ますことができますからね。インタビュー・文:たなか みえ/イラスト:浅海 司

石川 義弘

2018.5.28

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Open Doctorsは病気についての正しい知識をやさしい言葉で紹介。お医者さんとの間にある情報の差を解消することで、あなたの意思決定を支援します。

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市民・患者のための健康・医療コミュニケーション学会